流星のような光跡 大気圏再突入のスターリンク衛星、日本各地で観測

2025/02/23 17:31 

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 22日午後9時20分過ぎ、米スペースX社が手がける衛星通信サービス「スターリンク」の衛星が大気圏に再突入し、消滅していく様子が、東日本から西日本の広範囲で観測された。長野県諏訪市の霧ケ峰では、分裂した流星のような光跡をカメラで捉えることができた。

 自然の流れ星は秒速11キロから最大72キロという速さで地球の大気圏に飛び込むが、人工衛星は秒速約7キロというゆっくりとした速度で突入し、2~3分ほどかけて燃え尽きる。

 多数のカメラで流星や大気現象を捉え、SNSなどで情報発信している平塚市博物館の藤井大地学芸員(39)によると、「今回は軌道や現れた時刻から、大気圏に再突入したのは2020年4月20日に打ち上げられたスターリンク衛星だと判明した」という。西日本沖の日本海上空約100キロで大気圏に突入し、日本列島を横断する形で太平洋上空で燃え尽きたとみられる。

 スターリンク衛星は19年以降、既に7000機以上が打ち上げられた。その一方、寿命は5年ほどで、使えなくなった衛星が次々と大気圏に再突入している。藤井さんは「ほぼ毎日、世界のどこかで大気圏に突入し、多い日には10機以上になることもある」と話す。

 同衛星が燃え尽きず、地上に落下する可能性は低いと考えられている。しかし、素材のアルミなどが大気中に飛散し、環境汚染を引き起こす可能性が指摘されている。

 藤井さんは「人工衛星の急増にともない、大気圏再突入も今後間違いなく急増する。環境への影響も心配される」と話した。【手塚耕一郎】

毎日新聞

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