維新の兵庫県議3人、立花氏への情報提供認め謝罪 音声や自作メモ

2025/02/23 20:10 

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 兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑に関する告発者の情報を、日本維新の会に所属する兵庫県議らが政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首に提供した問題で、関与した維新の増山誠(46)と岸口実(60)、白井孝明(41)の3県議が23日、神戸市内で記者会見した。3人とも情報提供を認めて謝罪した。増山氏は、非公開で実施した県議会調査特別委員会(百条委)の議事を自ら録音したデータに加え、疑惑を告発した元県西播磨県民局長(2024年7月に死亡)の私的情報に触れた自作のメモ(備忘録)も、立花氏に提供したことを明らかにした。

 増山氏は「議会のルールを破った。(他の2人より)私の行為は重い」として、離党届を提出した。増山、岸口両氏は百条委のメンバーだったが、20日に辞職している。

 記者会見で、増山氏は立花氏との接点ができたのは、斎藤氏の失職に伴う知事選の告示直前の24年10月下旬だったと説明。同31日、神戸市内のカラオケボックスで1対1で会い、同25日にあった百条委の録音データをLINE(ライン)で送信した。データには、片山安孝元副知事を証人尋問した際のやりとりが記録されていた。

 この日の百条委は、知事選への影響を避けるため、非公開で実施された。増山氏は委員会室の机上にスマートフォンを置き、自ら録音したと明らかにした。立花氏への提供について「(議会の)規則違反との認識はあった。当初から立花氏に渡そうとしたわけではない」と述べた。

 増山氏は、元局長の私的情報に触れた自作のメモを提供したことも明らかにした。立花氏はX(ツイッター)で「昨年10月31日に増山誠県議から、受け取りました」と情報源を明かした上で、元局長の公用パソコンに保存されていた私的文書について、真偽不明の情報も含んだ文書を投稿した。

 この文書についても、増山氏は「私が渡したものと同じ内容」と認めた。備忘録として作ったもので、「斎藤氏のパワーハラスメントによって、元局長が亡くなった」などという世論を打ち消す狙いがあったという。増山氏は「公益に資する情報だと考えて伝えた。告発者の信用を落とす意図はなかった」と説明した。

 記者会見では、これらの情報を、県議会で自ら取り上げたり、維新に近い人物に提供したりしなかった理由を繰り返し問われた。増山氏は、立花氏をメディアであるとみなしていたといい「立花氏は発信力があるので、県民の皆様が知ることができると考えた」と述べた。

 一方、岸口氏は、知事選告示翌日の11月1日、神戸市内のホテルで民間人とともに立花氏と面会し、真偽不明の文書を手渡す場に立ち会った。この文書は、百条委委員だった竹内英明元県議(25年1月に死亡)を「黒幕」と名指しする内容だった。これを根拠に、立花氏がSNS(ネット交流サービス)などで発信し、竹内氏らが中傷される一因となった。

 岸口氏は記者会見で、面会の直前に初めて文書の内容を把握し、誰が作成したのかも知らないと説明した。ただ、面会中には立花氏に対し「すべてが事実だとは認識していない」と伝えたという。岸口氏は「私から文書が渡ったことは否定できない。(立花氏と)お会いしたのは軽率だった」と陳謝したものの、民間人の属性は明かさず、自らが同席した理由もはぐらかした。

 白井氏は、立花氏と11月1日から計3回、電話で連絡したと認めた。自らが支援者を通じて接触をはかったといい「立花氏のほうが情報に詳しかったので、個別・具体的な内容は話していない。情報提供と言われても仕方ない」と述べた。【大野航太郎、柴山雄太、東久保逸夫】

毎日新聞

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