「脱石炭の工程表明示を」 OECDが日本の環境施策巡り報告書

2025/03/21 19:57 

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 経済協力開発機構(OECD)は21日、日本の環境政策に関する報告書「環境保全成果レビュー」を公表した。「(温室効果ガス排出量の多い)石炭火力の段階的削減に向けた工程表が必要だ」と指摘し、2050年ネットゼロ(排出実質ゼロ)に向けた方策については、技術開発の不確実性などを考慮して代替案を示す必要性があるとした。

 OECDは加盟国などを対象に、環境政策について評価したり助言したりする報告書をまとめている。日本に関する報告書は、10年以来で15年ぶり。

 報告書では、世界の気温上昇を産業革命前に比べ1・5度までに抑えるという世界共通目標に整合する形で、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電を30年代前半に段階的に廃止するための工程表を示すよう求めた。30年代の石炭火力廃止は、24年6月にイタリアで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、初めて首脳宣言に盛り込まれた。

 また、化石燃料から太陽光など再生可能エネルギーへの転換が世界的な潮流の中で、日本の発電量に占める再生エネ割合はOECD平均より少ないと指摘。国内には洋上風力や地熱など再生エネの潜在的可能性があるとして「引き続き導入に取り組むべきだ」とした。

 OECDのジョー・ティンダル環境局長は21日の記者会見で「現在のペースでは50年ネットゼロは達成できない。野心的な排出削減目標にしてほしい」と強調。政府が推進する二酸化炭素(CO2)を回収して地中に貯留する「CCS」や水素を活用した新技術について「リスキーで費用もかかる。代替シナリオを作って、技術的な不確実性をカバーすることも検討すべきだ」と述べた。【山口智】

毎日新聞

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