山林火災で自宅焼失、「あわびステーキ」で再起誓う 大船渡
岩手県大船渡市の大規模山林火災では、地元の水産業も大きな被害を受けた。水産加工会社「野村海産」の野村誠一社長(83)は三陸町綾里の自宅が全焼。被災から3週間がたった今、避難所と工場を行き来しながら、売り出したばかりだった天然エゾアワビを使った新商品「あわびステーキ」で再起を期す。
野村海産は2009年に創業し、高級食材の干しアワビやアワビ加工品などを製造していた。あわびステーキは、24年1月に高級路線商品として開発に着手。日本調理師会会長を務めた故加藤綱男氏(24年5月に死去)監修の下、資源保護のため漁期が例年11~12月に限られる県産のエゾアワビのうち、約10年物を選別。柔らかな食感に仕上げ、24年末に発売した。
販路を拡大しようとしていた矢先の今年2月19日、野村さんの自宅がある三陸町綾里田浜付近で山林火災が発生した。野村さんは一時避難所に身を寄せ、25日になって火災が鎮圧状態になったため帰宅。だが、工場に戻って仕事をしていた翌26日、赤崎町合足で再び山林火災が発生した。
最初の火災では無事だった野村さんの自宅にも延焼。「飛び火したのかもしれないが、まさかここまで火が来るとは」と落胆した。1人暮らしの自宅は全焼し、冠婚葬祭で必要な背広や、102歳まで生きた母親ら親族の位牌(いはい)も焼けた。
自宅から少し離れた場所にあった工場は焼失を免れたものの、避難指示の影響などで約2週間、操業停止を余儀なくされた。火災に伴う停電の影響で受注や発送は中断したが、在庫や取引先に大きな被害はなかった。
野村さんは今、日中は避難所で自身と同じ境遇の高齢者に声を掛けたり、テレビで選抜高校野球大会の花巻東(岩手)の活躍を見守ったりして過ごしている。夜は工場で寝泊まりし、取引先とのやりとりを再開した。
野村さんは16年、干しアワビ製造時に残る肝を発酵させたしょうゆを岩手大や盛岡市の老舗しょうゆ店と開発し、県の水産品コンクールで最高賞を受賞。三陸沿岸ブランドのアワビに付加価値を付けて独自商品化する事業に取り組んできた。「中華圏では最高級食材の吉浜(きっぴん)アワビとして知られる地元名産を活用し、あわびステーキを新たな看板商品に育てていきたい」と話す。
東日本大震災の地域の復興委員などを務めた経験があり、自身が山林火災の被害に遭った今も地域の人々に目を向け続けている。「これからできる仮設住宅でも、組織をつくってお互いを見守ることも考えないと」と構想中だ。
あわびステーキは冷凍2個入りで桐箱(きりばこ)包装8100円、化粧箱7600円、発泡スチロール6900円(送料別)。問い合わせは同社(0192・42・2233)。【西本紗保美】
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