大阪市立美術館所蔵品が初の国宝指定へ 25日から特別展示
大規模リニューアルを経て今月1日に再開した大阪市立美術館(天王寺区)で、所蔵する鎌倉時代の経典「物語下絵料紙(ものがたりしたえりょうし) 金光明経(こんこうみょうきょう) 巻第二(かんだいに)」が国宝に指定されることになった。同館の所蔵品としては初の国宝指定となることを記念し、25日から、現在開催中のリニューアルオープン記念展「What′s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開‼」(同館、毎日新聞社主催)で特別展示される。24日に先立って報道陣に公開され、内藤栄館長は「見るところがたくさんあるので、ぜひ細かく鑑賞してみてほしい」と話した。記念展は30日まで。
「物語下絵料紙 金光明経 巻第二」は、1192年に没した後白河法皇の追善供養のため同年に書かれた経典で、現存する4巻のうちの1巻。後白河法皇が制作に関わった絵巻の料紙が転用されたとみられ、経文の下に物語絵らしき下絵が描かれている。吹抜屋台の手法で、邸宅や、そこにいる貴族、僧侶らが描かれているが、物語の内容はわかっていない。
経文が全て残っている2巻はすでに国宝に指定されていたが、この巻は途中に切り取られた部分があり、重要文化財指定となっていた。それでも全長約7メートルあり、下絵の物語の場面数が4巻のうち最多であることなどから、質・量ともに国宝の2巻に匹敵するとして、今月21日、文化審議会が国宝に指定するよう文部科学相に答申した。
「字の美しさも見てほしいが、しばらく見ていると下の絵が見えてくる」と内藤館長。鐘淵紡績の代表取締役などを務め、美術品の収集家としても知られた武藤山治(1867~1934年)が旧蔵したもので、孫の武藤経三さんが2023年、同館に遺贈した。内藤館長は「非常にうれしく思っている。指定を受けるとまずは(東京国立博物館で開かれる)新指定品の展覧会に出品するのが一般的だが、リニューアル展で急きょお披露目することにした」と喜びを語った。
展覧会は午前9時半から午後5時まで。1800円(高大生1200円、中学生以下無料)。【山田夢留】
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