生活保護基準減額訴訟 最高裁、今夏にも統一判断の見通し

2025/03/26 20:18 

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 生活保護基準を引き下げたのは健康で文化的な生活を保障した生活保護法に違反するとして、受給者が居住する自治体や国に減額の取り消しと賠償を求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は26日、受給者側と国側双方の意見を聞く弁論期日を5月27日に指定した。減額の違法性を巡る同種訴訟の司法判断は割れており、最高裁が今夏にも統一判断を示す見通し。

 国は2013~15年、物価の下落率や、生活保護世帯と低所得者世帯の均衡を考慮し、生活保護費のうち、食費や光熱費に充てる生活扶助の基準額について最大10%の引き下げを実施した。

 弁論期日が指定された2件の訴訟のうち、大阪高裁は23年4月、08年のリーマン・ショックによる物価下落を考慮して国が基準額を見直した判断に不合理な点はないと指摘。受給者側の請求を棄却した。

 一方、名古屋高裁は23年11月、国が受給者の消費実態とかけ離れた物価指数を使って基準額を引き下げたと批判。さらに引き下げに際して専門家の検討を経なかったとし、減額決定を取り消すとともに、国に受給者1人あたり1万円の賠償を命じた。

 同種訴訟は1000人超の受給者が全国で起こしている。高裁では受給者側勝訴が4件、敗訴が4件と判断が割れている。今回弁論期日が指定されたのは8件のうちの2件で、他の同種訴訟より先行して高裁判決が言い渡されていた。【巽賢司】

毎日新聞

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