ミャンマー地震で死者1600人超 日本人2人けが 保育施設も倒壊

2025/03/29 21:07 

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 ミャンマー中部を震源とするマグニチュード(M)7・7の大地震について、軍事政権は29日、同国各地の死者が計1644人に上ったと明らかにした。けが人は3408人で、行方不明者が139人としている。国営メディアが伝えた。

 死傷者はさらに増える見通しで、軍事政権は国際社会に異例の支援を呼びかけている。震源に近い第2の都市マンダレー周辺の被害が深刻で、694人が死亡し、1670人が負傷。約1600棟の家屋が損壊した。首都ネピドーや北部ザガイン管区などでも死者が出ている。米地質調査所(USGS)は最終的な死者数が1万人を超える可能性があるとしている。

 日本の外務省によると、マンダレーで日本人2人がけがをし、病院で治療を受けた。入院はしておらず、命に別条はないという。

 英BBCは29日、中部チャウセにある倒壊した保育施設から幼児12人と教師1人の遺体が見つかったと報じた。幼児ら50人以上が行方不明になっているとの情報があり、救急隊が捜索を続けている。マンダレーのマンション倒壊現場では、90人以上ががれきの下敷きになっているという。

 隣国タイの首都バンコク中心部では29日も、倒壊した高層ビルの建設現場でがれきの下敷きになっている作業員らの救出作業が続いた。タイ政府によると、倒壊したビルでは少なくとも8人が死亡、約50人が行方不明になっている。当初は100人近くの安否が分からないという情報があったが、その後確認が進んだという。

 地元メディアによると、現場で救助活動にあたっているタイ当局の担当者は29日、がれきの下で、約15人の生体反応を検知したと明らかにした。「救急隊が食料と水を届けようとしている。困難なのは、一部ががれきの奥深くに閉じ込められていることだ」と指摘。生存率が大幅に下がるとされる発生から72時間が経過するまでに、救助が必要との認識を示した。

 別の建設現場などでも5人の死亡が確認されており、バンコクの死者は計13人となった。

 中国国営新華社通信などによると、中国やロシア、インドが救助・医療隊をミャンマーに派遣した。2021年2月のクーデターで実権を握った国軍は、西側諸国から経済制裁を受けて孤立を深める一方、中露などとは友好関係を維持しており、支援を受け入れる下地となっていた。また東南アジア諸国連合(ASEAN)も29日に外相声明を出し、加盟国のミャンマーやタイへの救援や復旧支援を表明した。

 石破茂首相はタイの地震被害について、ペートンタン首相宛てにメッセージを送り、「大変心を痛めている。被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げる」とした。【武内彩(バンコク)、畠山哲郎】

毎日新聞

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