障がい児に晴れ着をレンタル 寝かせたまま3分で着付け 鹿児島

2025/03/25 08:45 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 障がいのある子どもたちが、人生の節目に身にまとう晴れ着を作成・レンタルする会社が鹿児島市にある。看護師として、寝たきりの障がい児に多く接してきた堀之内香織さん(57)が社長を務める「ホーリーアイ」。2024年度は、北海道から沖縄県まで約100人が利用。大阪・関西万博(4月13日開幕)にも参加して、多くの親に知ってもらい障がい児の利用につなげたい考えだ。

 万博では開幕直前の4月5日にある「テストラン」(デモンストレーション)でお目見え。8月9日には写真映像展示と利用者のストーリー紹介、晴れ着の着付け体験などで本出展する。

 堀之内さんは約15年間、看護師として障がい児と接してきた。介助者が手伝っても体を動かし切れず、人生の節目に晴れ着を着ることができない子どもたちを見てきた。20年に看護師を辞めて自身の将来を考えたところ、「障がいがあっても着ることができる晴れ着を作ろう」と思い立った。既製品(ポリエステル製)のサイド部分が外れるようにし、留め具と接着テープで簡単に着ることができるように考案。切ったり、丈詰めしたりは市内の縫製業者に依頼した。クラウドファンディングで100万円を集め、鹿児島県の補助金も得て80着でスタート。ブランド名を「Holy Angel(ホーリー・エンゼル)」とした。

 寝かせたまま3分間で着せることができるのがポイント。1年目の21年度の利用は30人ほどだったが、タレントの柳原可奈子さんが23年秋、長女の七五三のため利用。一気に知名度が上がったという。

 24年7月にはホーリーアイを設立。注文があれば、ホームページを見て好きな晴れ着を選んでもらい、着丈、胸囲、裄(ゆき)丈を聞いて個々人の体形にカスタマイズする。値段は送料込みで七五三用が2万円から。成人式用の振り袖や袴(はかま)と着物のセットだと3万円からになる。

 堀之内さんの元には、「願いを叶(かな)えて下さり本当に嬉(うれ)しかった」(成人式で着用した浜村菜乃子さん)など感謝の声が続々と寄せられている。柳原さんもインスタグラムに「長女の七五三でお着物どうしようと探していたら、晴れ着レンタルをみつけました。サイドがガバッと開くので、寝かせたまま着せることができたよ。可愛らしい晴れ姿、見られてよかった」などとつづっている。

 堀之内さんは「着られないと思っていた子が着られると、私もうれしくなる。温かい社会につなげる一助となれば」と力を込める。

 問い合わせはメール(holyangel2021@gmail.com)。【梅山崇】

毎日新聞

社会

社会一覧>