フジ、新役員体制発表 トラブル発覚時の取締役・監査役、全員退任

2025/03/27 21:04 

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 元タレントの中居正広氏による女性とのトラブルに端を発するフジテレビの問題で、フジの親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)は27日、両社の取締役相談役を務める日枝久氏(87)が退任すると発表した。フジの躍進を支え、取締役を42年近く務めた日枝氏は今も経営に大きな影響力を持っていたとされ、信頼回復に向け日枝氏を含む経営陣の刷新を求める声が社内外で高まっていた。

 同日開かれた取締役会終了後、記者会見したフジ・メディアHDの金光修社長は日枝氏の退任について「人事の理由はつぶさに説明することはできない。総合的な判断」とだけ説明。日枝氏は両社のほか、産経新聞、ニッポン放送などで構成されるフジサンケイグループの代表も辞任する意向という。

 両社は同日、新たな役員体制を発表。フジの執行役員でTVer社長の若生伸子氏(63)を両社の常務に起用するなど、取締役の女性比率を3割以上に増やしたほか、取締役の総数を大幅に減らし、平均年齢も引き下げた。金光社長は代表権のない会長になり、フジ・メディアHDの社長は清水賢治・フジ社長が兼ねる。フジは清水社長を除き、問題発覚時点の社内出身の取締役・監査役が6月までに全員退任する。

 フジの新体制は27日付。フジ・メディアHDは、6月開催予定の株主総会をもって移行する。

 フジは、昨年12月に中居氏のトラブルが週刊誌で報じられて以来、対応が後手に回り、1月17日の記者会見では不十分な説明を繰り返した結果、強い批判や大量のCM出稿停止を招いた。1月27日に「やり直し」の会見を開き、港浩一前社長と嘉納修治前会長が辞任してもスポンサーの大半が離れた状態が続いている。

 フジは、問題の調査・検証のために第三者委員会を1月23日に設置。3月末をめどに出される報告書を待つとともに、役員体制の見直しが焦点になっていた。

 日枝氏は1961年、フジに入社。「楽しくなければテレビじゃない」のキャッチフレーズの下、「軽チャー路線」で年間視聴率3冠王を連続して獲得し始めた80年代に編成局長などを務めた。83年に取締役になり、88年には50歳で初の生え抜き社長に。2001~17年に会長を務めた後は取締役相談役として残っていた。【井上知大、諸隈美紗稀】

 ◇フジ・メディアHDと

 フジテレビの経営体制見直し(骨子)

▽取締役の人数削減

 フジHD17人→11人、フジ22人→10人

▽独立社外取締役、社外取締役を過半数に

 フジHD11人中6人、フジ10人中6人

▽女性取締役比率を3割以上に

 フジHD36.4%、フジ30.0%

▽50代以下を起用し取締役の平均年齢引き下げ

 フジHD71.2歳→61.6歳

 フジ  67.3歳→59.5歳

▽本格的な執行役員制度を導入

※フジテレビは、やり直しの記者会見をした1月27日時点の社内出身の取締役・監査役が6月までに全員退任

毎日新聞

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