学術会議、特殊法人化法案の修正求める決議 独立性確保の懸念拭えず

2025/04/15 20:57 

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 日本学術会議は15日に開かれた総会で、学術会議を特殊法人化する法案について国会に修正を求める決議案の採決を行い、賛成多数で承認した。学術会議は独立性の確保などの要件を求めてきたが、多くの会員は懸念が払拭(ふっしょく)されていないと判断した。法案は18日にも国会で審議入りする予定で、光石衛会長は「法人化自体には賛成も反対もしない。懸念される点はあるので慎重な審議をしてほしい」と述べた。

 人文系を中心とした有志の現会員56人が、14日に決議案を総会に提出していた。15日には無記名で賛否を問う投票が行われ、会員210人のうち160人が投票。賛成102票、反対36票、白票22票だった。

 決議案では学術会議が求める活動面での政府からの独立や、会員選考における自主性・独立性などが充足されていないと指摘。法案の修正を求めた。具体的には大臣が任命する監事を総会の任命にしたり、会員選定に助言する委員会に関する規定を削除したりすることを想定している。財務基盤が政府による補助金などに変わることにも懸念を示した。

 一方でこの日、決議案とは別に「国会において修正の可能性も含め十分に慎重な審議を望む」とした声明についても投票があり、承認された。声明は光石会長が14日に提出した案を会員の意見を踏まえて修正したもの。2020年の会員任命拒否がきっかけで組織見直しの議論が始まったことについて「極めて残念だった」としたが、「学術会議のあり方に関する議論を糧とし、自ら行動し、さらなる改革を進める」と、国民へのメッセージも盛り込んだ。

 法案は共産党が反対する方針を決めているが、立憲民主党や国民民主党は立場を決定していない。【信田真由美】

毎日新聞

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