パンダ全4頭、中国返還へ 白浜の住民「生活の一部なのにショック」

2025/04/24 19:40 

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 和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」のジャイアントパンダ4頭が中国へ帰国することになったことを受けて、関係者や来園者からは失望の声が相次いだ。

 白浜町の大江康弘町長は24日、「全頭帰国という情報は寝耳に水で、とても驚いている」と話し、「パンダは白浜観光の象徴で白浜にいて当たり前の存在。昨年には日中共同繁殖研究30周年を迎え、これからというところでとても残念だ。新たなパンダが来るのか、待つ以外方法がないのが寂しい」と残念がった。

 「周辺住民にとってパンダは生活の一部。びっくりだし、ショックです」。アドベンチャーワールド近くのスーパーマーケットに買い物に来ていた同県田辺市の松下美佐子さん(62)は驚きを隠さない。「30代になった子ども2人が小さい時から誕生日のたびに見に行った思い出でいっぱいです。アドベンチャーワールドのパンダは白浜で産まれた子が多く、赤ちゃんの時から成長を見られるのがうれしかったし、動きもかわいいので大好きです」と話した。

 来園者からも悲鳴が上がった。大阪府茨木市の会社員、小西花奈さん(40)は2年ほど前から、パンダ目当てに仕事の休みのたびに高速バスで通っているという。「病気をした時、結浜(ユイヒン)の動画を見ていやされ、元気をもらった。雄がいつ来てくれるかなと楽しみにしていたので、SNSで帰国を知って頭が真っ白になった。今年も結浜の誕生日を一緒にお祝いできると思っていたので信じられない」と目に涙を浮かべた。

 滋賀県彦根市の保育士の女性(24)は「パンダは見ているだけで幸せな気持ちになる。(繁殖やゆっくり過ごすという帰国理由は)パンダのためになるなら納得できる。またファミリーを増やして、いつか和歌山に戻ってきてほしい」と期待を込めた。【大澤孝二、安西李姫】

毎日新聞

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