愛犬と駅弁に舌鼓 高額プランも即完売 「ペットツーリズム」大盛況
かわいい愛犬とワンダフルな旅を――。
飼い犬や猫と旅行を楽しむペットツーリズムが活況だ。
1泊2日で10万円以上かかるペット同伴ツアーにも予約が殺到。ゴールデンウイーク(GW)でも、ペット同伴OKなホテルやケージなしで利用可能な列車が人気を集めている。
その人気の秘密は?
◇愛犬とリゾートへ
「ワンワン!」「グルルルル」
4月中旬の早朝、JR上野駅の改札前には、飼い犬を入れたキャリーバッグや持ち運び用のケージを手にした夫婦や子ども連れが続々と集まった。
総勢45組82人は、特急列車の貸し切り車両に乗り込むと、飼い犬をケージから出し、膝の上に乗せたり、食事を一緒に取ったりと、思い思いの鉄道旅を楽しむ。
目指すは、人気のリゾート地・長野県軽井沢町だ。
このツアーは、JR東日本が、犬とのお出かけ情報を発信するポータルサイト「おでかけわんこ部」と企画したペット同伴可の旅行プラン「わんだフルTRAIN~愛犬と軽井沢満喫の旅~」。
1泊2日で1人10万7000~16万2000円。ホテルによってはペット1頭につき宿泊費3300円がかかる。
「犬が年齢を重ねると旅行が難しくなるかなと思って。奮発しました」
埼玉県富士見市の梨本ゆかりさん(57)は夫とともに、7歳のシバ犬・ジャックを連れてツアーに参加した。
ジャックとは車で旅行したこともあるが、「ツアーは運転の必要がなくて気軽。列車内でケージから出せるし、他の犬と触れ合えるのも楽しいです」と笑顔で話した。
◇鉄道会社の予想を超え
JR東日本は新型コロナ禍での利用低迷や閑散期の打開策として、2023年12月に初めてペット同伴ツアーを実施した。4月のツアーで3回目となる。
「当初は社内でも『列車に乗ってまで、ペットと旅行に行かないのでは』という意見もありました」
自身も愛犬家で、企画を発案したJR東日本社員の鈴木一史さんは明かす。
しかし子育てを終えた世代や車を持たない飼い主をターゲットに企画してみると、その需要は想像を超えた。
4月のツアーも、発売直後から申し込みが殺到。10日で募集枠の60人分が完売、約40人がキャンセル待ちに。急きょ22人分の枠を追加したという。
「愛犬を家族と思う人が増え、特にケージレスという点がニーズとマッチしたのでは」と振り返る。
◇ペットと一緒に「駅弁」
関連商品のニーズも高まっている。
JR東日本が実施した4月のペット同伴ツアーでは、ペット用の「駅弁」が初めて提供された。
メニューはチキン味のシューマイに、卵焼き、ブロッコリー、たい焼き。提供したペットフード開発・販売会社「バイオフィリア」は「列車内でペットとの時間をより豊かなものにしたいというニーズに応えた」とする。
バイオフィリアが昨年10月、犬の飼い主1012人を対象に行ったアンケートでは、「愛犬を旅行に連れていきたい」と答えた人が96.3%に上り、1回の旅行で1頭あたりの旅費が1万円を超えた割合は50.6%を占めた。中には「10万円以上」もあった。
◇「飼い犬は番犬」今は昔
「ペットを飼うというより、生活を共に楽しむという考えに変わってきている」
ペットツーリズムが活況を呈する背景について、日本愛玩動物協会の東海林克彦会長はそう解説する。
かつては「番犬」「ネズミ捕り」の用途で犬猫を飼うケースや、鎖につないだ外飼い、餌をやるだけというパターンも多かった。
しかし、マンションやアパート暮らしが増え、ライフスタイルが変化する中で「室内飼い」が主流になっている。
「ペットは家族同然の存在。旅行の時に心配で家に残しておけない、思い出を共有したいと思うのも当然だ」
◇動物が苦手な人にも配慮を
ペットツーリズムの需要は今後も高まりそうだ。
同伴可能な宿泊施設も急増している。大手ホテルチェーン「星野リゾート」をはじめ、3000~4000軒あるという。
JR東海は今年3月、愛犬をケージから出して過ごせる新幹線を試験導入した。
北九州市の航空会社「スターフライヤー」は客室内にペット同伴で搭乗できるサービスを始めている。
一方で、動物が苦手な人への配慮も欠かせない。
JR東日本のツアーでは、ペット同伴可能な車両を限定した上で、参加者には列車内での犬用おむつの着用や、旅行前のシャンプー、ブラッシングなどを行うよう呼びかけた。
東海林さんは「家の外に一歩出れば、他の人に配慮しなければいけないのは大前提。適切な飼い方や外出マナーを定着させる必要がある」と話している。【田中理知】
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