新提案「黒いバナナ」をBBQに? 規格外バナナの意外な使い道

2025/04/29 07:30 

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 果物大手のドール(東京都中央区)が4月、規格外のバナナを加工した「バナナ炭(すみ)」の販売を始めた。廃棄されるバナナをゼロにする取り組みの一環だが、見た目のインパクトに加え、炭としての扱いやすさや他製品への活用の幅広さから注目を集めている。

 ◇年間約2万トン廃棄

 日本は年間約100万トンのバナナを輸入している。そのうち20万~25万トンを取り扱うドールによると、主力生産地のフィリピンでは毎年約2万トンのバナナが、皮に傷がある▽サイズが小さすぎる・大きすぎる▽形がいびつ――などの理由から規格外となり、埋め立て廃棄されているという。

 加えて、バナナは一房15~20本で実になるが、スーパーなどでは一般的に4~6本の束で売られている。そのため端数として残ったバナナは、基準を満たしていても捨てられてしまうこともあるというのだ。

 そこでドールは、2021年に「もったいないバナナ」と銘打ったプロジェクトを始めた。製菓、製パン業界などから現在60社以上が参加し、それぞれ規格外のバナナをジュースやアイス、菓子などに加工して販売している。24年度は約2000トンのもったいないバナナが、こうした商品に生まれ変わったという。

 ◇BBQの火おこしに

 今回、新たに商品化されたバナナ炭。生産地のフィリピンでは、もともと規格外のバナナを炭化させ肥料として活用しており、それをヒントに開発された。

 燃焼時間は30分ほどと短いが、一般的な木炭などより軽く、着火しやすい。そのためバーベキューの火おこしなどに向いている。砕けやすく、バーベキューの後などに残った炭の処理も手軽で、初心者でも失敗しにくいという。

 真っ黒だが、形状はバナナそのまま。そんなユニークな見た目も異彩を放つ。ドールの青木寛社長は「家族や林間学校でバーベキューをした時にバナナ炭を使ってもらい、フードロスについて学ぶきっかけになればうれしい」と話す。

 バナナ炭は4月1日からフリーマーケットサイト「メルカリShops」で数量限定で販売されており、2キロ入り1箱3300円(税込み)。ホームセンターやスーパーマーケットでの販売も検討している。

 バナナ炭を使ったトイレの脱臭剤や、バナナ炭のインクを使ってデザインしたTシャツなどの新商品も開発していく方針だという。

 自宅の七輪でバナナ炭を使ってみたという青木社長は「今までの3分の1くらいの着火剤で火おこしできる。ぜひバナナ炭でドールのもったいないバナナやパイナップルを焼いて、食べてほしい」と力を込める。

 ◇従業員の健康にも

 また、スターバックスコーヒージャパンは24年、もったいないバナナを使った「バナナブリュレフラペチーノ」「バナナの米粉マフィン」「バナナの米粉ロールケーキ」を期間限定で販売した。4月22日からファミリーマートで販売されている「冷凍チョコバナナ」にも、もったいないバナナが使用されている。

 企業へもったいないバナナを届けることで、従業員の健康習慣を支えつつ、フードロス削減も進める「オフィス・デ・ドール」活動も進んでいる。現在約60社が定期購入しており、伊藤忠テクノソリューションズ(東京都港区)では5月13日から、本社社員向けに月約2000本のバナナの無料配布を始める予定だ。【鴨田玲奈】

毎日新聞

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