拉致被害者家族らが米国へ出発 早期解決へ「真剣に必死に伝える」

2025/04/29 12:09 

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 北朝鮮による拉致被害者家族会や超党派の議員連盟のメンバーが29日、米国へ出発した。被害者家族らの訪米は2024年4~5月以来で、第2次トランプ米政権の発足後は初めて。米政府関係者らと面会し、日本人拉致被害者の即時一括帰国に向けた協力を求める。

 家族会と支援団体の「救う会」は2月にまとめた新たな運動方針で、被害者の親世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の即時一括帰国を実現するよう改めて日本政府に要望。実現しなかった場合は独自制裁の強化を求めると強調した。

 一方で2月には有本恵子さん(行方不明時23歳)の父明弘さんが96歳で亡くなり、政府が認定した未帰国の拉致被害者の親で存命なのは、横田めぐみさん(行方不明時13歳)の母早紀江さん(89)だけとなった。

 出発前に東京・羽田空港で報道陣の取材に応じためぐみさんの弟で、家族会代表の横田拓也さん(56)は「真剣に必死に、必ず解決してほしい、闘ってほしいと伝えたい」と話した。

 訪米では、有本さんの家族から預かった恵子さんの写真も持参する。拓也さんは「問題が埋没してしまうことは残された家族にとって苦しみ。時間がないこと、親世代が亡くなったことを先方にわかってもらうための写真」と力を込めた。

 田口八重子さん(行方不明時22歳)の長男で、家族会事務局長の飯塚耕一郎さん(48)は「家族を救うためには米国の強力なバックアップが必要。その点を強く伝えたい」と話した。

 家族らは5月3日まで米国に滞在し、4日に帰国する予定。【木下翔太郎】

毎日新聞

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