神奈川県警は１日、川崎市川崎区大師駅前２の民家で、バッグの中から性別や年齢が不明の遺体が見つかったと発表した。県警は死体遺棄事件として捜査している。捜査関係者によると、ストーカー行為の疑いがある２０代男性の自宅を家宅捜索したところ発見された。男性の元交際相手で、ストーカー被害を訴えていた女性（２０）が行方不明になっており、県警は関連を調べている。

　捜査関係者によると、県警川崎臨港署が４月３０日夜にストーカー規制法違反の疑いで男性宅を捜索したところ、室内にあったボストンバッグの中に遺体のようなものがあるのを発見。１日に署で遺体と確認された。遺体の一部は白骨化しており、県警は２日に司法解剖して身元や死因を調べる。

　行方不明になっているのは岡崎彩咲陽（あさひ）さん。家族によると、岡崎さんは、家宅捜索先の民家に住む元交際相手の男性からストーカー行為を受けていると訴えていた。

　岡崎さんは２０２４年１２月２０日朝に自宅からいなくなった。岡崎さんの自宅のガラス窓が割られ、鍵が開けられていた。不在に気づいた家族が同２２日に県警に通報したという。

　家族は取材に対し「当時、警察からは『事件性があるかどうか分からない』と言われた」と話した。岡崎さんについては「２４年１１月からストーカー行為がひどくなり、何度も警察に通報していた」とした。

　岡崎さんの父（５０）によると、岡崎さんは行方不明になる前日、交流サイト（ＳＮＳ）を通じて母に「殺されるかもしれない」とメッセージを送っていたという。「警察は何もしてくれなかった」と憤り、遺体について「まだ本人と分かったわけではない」と祈った。１０代の弟も取材に応じ「姉ではないことを願っている」と話した。

　友人の女性（１９）は岡崎さんから、元交際相手の男性とのトラブルについて相談を受けていた。「（男性宅で）けんかをして、帰ると言ったら服を脱がされて帰れなくさせられたと聞いた」と振り返る。２４年夏ごろに女性が岡崎さん宅に遊びに行った際、男性が急に訪れ、外からドアを激しくたたくこともあったという。

　岡崎さんについて「人懐っこくて明るい子だった。（今の事態を）受け入れられない」と肩を落とした。

　家族は岡崎さんが行方不明になった後、ＳＮＳで情報提供を呼びかけていた。１日には署に岡崎さんの家族ら関係者が詰めかけ、署員に説明を求める様子がみられた。

　捜査関係者は岡崎さんを巡る対応について「署がその都度しており、現時点では対応が明らかに不足していたということはないが、県警が精査することになるだろう」と話した。【宮本麻由、清水夏妃、横見知佳】