「平和憲法、今こそ世界に発信」 護憲派が各地で訴え

2025/05/03 21:40 

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 憲法記念日の3日、各地で憲法を考える集会が開かれた。戦後80年を前に、護憲派も改憲派もそれぞれの立場から主張を展開した。

 ◇「核抑止の大前提問い直す必要」

 大阪市北区の扇町公園では、護憲派の市民団体による「かがやけ憲法! 平和といのちと人権を 5・3おおさか総がかり集会」があった。約3500人(主催者発表)が集まり、憲法改正の動きに異を唱えた。

 市民団体「戦争をさせない1000人委員会・大阪」の米田彰男共同代表はロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘に触れ、「平和憲法を世界に発信していくことが重要だ」と呼びかけた。

 軍縮への政策提言を行うNPO法人「ピースデポ」の元事務局長で、長崎大核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授も登壇した。昨年、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞したことについて「核を巡って世界がいかに危険なところにあるかという裏返しだ」と指摘。「核抑止が安全を守っているという大前提を問い直していく必要がある」と訴えた。

 このほか、立憲民主や共産、れいわ新選組、社民の各党の国会議員らも出席した。集会後、参加者らは「憲法改悪反対!」などと声を上げながら周辺を行進した。参加した東大阪市の女性教員(48)は「国民に見えないところで軍拡に予算が使われているのではないか。唯一の被爆国である日本こそが憲法9条を守っていくべきだ」と話した。【藤木俊治、宮城裕也】

 ◇「憲法を生かす政治を」

 憲法記念日の3日、憲法施行記念福岡県民集会が福岡市早良区の早良市民センターであった。九条の会県連絡会が主催。下関市立大(山口県)の関野秀明教授が「インフレ不況、改憲政治からの出口戦略」と題して講演し、約300人が耳を傾けた。

 関野教授は、海外市場や海外権益を重視する経済からの離脱を訴え「憲法9条と25条を守った平和福祉国家になることで国内で所得と投資が増え、豊かになれる」と主張。「社会保障が弱いと、家族のために兵隊に行ってもいいという米国のような社会になってしまう」と警鐘を鳴らした。

 集会では「台湾有事を口実に、沖縄・南西諸島で敵基地攻撃のためのミサイル基地の新・増設が進められ、再び戦争の最前線にしようとしている。憲法9条2項がある限り『軍隊』を持つことはできない。戦争をする国づくりをストップさせ、憲法を生かす政治を実現することを訴える」などとするアピール文が読み上げられた。

 福岡市西区の永井恵さん(83)は「父親が戦死して貧乏のどん底になり、大学にも行けなかった。一家を支えた母親も早死にした。憲法9条だけは体が動かなくなっても守りたい」と話した。【山口響】

毎日新聞

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