炭鉱の歴史と文化「観て、触れて」 坑内再現の展示室完成 福岡

2025/05/07 18:20 

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 2023年から建設していた福岡県鞍手町歴史民俗博物館の別館・石炭資料展示室が完成した。「観(み)て、触れて、記憶に残るリアル体感」がコンセプト。真っ暗な坑内の再現や、4人の語り部の映像を見ることができる。工事に伴って博物館そのものが休館となっていたが、7日にリニューアルオープン。関係者が祝った。

 町では、江戸時代から石炭の採掘が始まったとされる。1910年代に石炭産業が発展。主な炭坑数は町内に延べ159あったとされる。しかし、国のエネルギー政策の転換もあり、50年代以降、小規模炭坑の閉鎖が加速。71年に最後となる三興神田炭坑が閉山した。

 石炭資料展示室は、かつて日本を支えた炭鉱の歴史と文化を未来に継承することが目的で開設。7日にあった完成記念式典で、岡崎邦博町長や関係者がテープカットした。

 三菱新入炭鉱の坑道を再現した展示では、来館者が「人車(じんしゃ)」と呼ばれるケーブルカーで地下に向かう「入坑」や、石炭の運搬作業の様子を楽しむことができる。元炭鉱労働者への聞き取りをもとに坑内の暗さや道の傾斜を再現したという。懐中電灯の明かりなどを使い、人車内の会話も聞くことができる。このほか、小規模炭坑や近代の採炭現場の様子も紹介されている。

 古後憲浩館長は「リアルに再現した坑道などの展示や、貴重な語り部の話を通じて石炭の世界を体感してほしい」と話す。【岡村崇】

毎日新聞

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