漫画家・こうの史代さん、福知山市のPRポスターに 最新作の舞台

2025/05/14 10:45 

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 漫画「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」「この世界の片隅に」などで知られる漫画家、こうの史代さん(56)が、現在暮らす京都府福知山市のプロモーションポスターに採用された。こうのさん描き下ろしの自画像と福知山が舞台の最新作「空色心経」の原画をあしらったデザインになっている。同市では6月、こうのさんの漫画家生活30周年を記念した原画展が開かれる予定だ。こうのさんは13日の記者会見で「漫画家になってから自分のやりたいことができ、続けてこられた」と30年を振り返った。

 こうのさんは広島市出身。2016年、夫の故郷である福知山市に東京から移り住んだ。発表されたポスターは市のプロモーション企画「福知山の変」の第10弾で、挑戦する市民「変化人」に、こうのさんが選ばれた。

 般若心経をテーマにした新作「空色心経」は、主人公の女性が暮らすまちが福知山に設定されている。こうのさんは会見後、作品に登場する由良川近くの散歩道を報道陣に案内した。

 こうのさんは福知山について「風景や人々の様子がこれまで暮らした場所より、ずっと普遍的なような気がする。平均的な日本の原風景という感じで、普通の人が心に親しみを持てる風景。こういう場所を舞台にして日常生活を描くと、より多くの人に共感してもらえる作品になるのではないかと思っている」と語った。

 福知山での原画展開催に合わせた「こうの史代まちなかお絵かきプロジェクト」を会見で発表した。映画館「福知山シネマ」に描き下ろしの架空映画看板を掲示。6月には福知山城天守閣と福知山シネマで、こうのさんのライブペインティングを開催する計画だ。

 こうのさんは「漫画の原画展は大御所の方ばかりで、私みたいなのがやって大丈夫なのだろうかと、ずっと不安があった。盛り上げたいという気持ちがあった」と、お絵かきプロジェクトの狙いを説明した。

 「こうの史代展」は全国巡回展で、福知山市では6月8日~7月27日に佐藤太清記念美術館で開催される。500枚以上の漫画原画やカラーイラスト、絵本原画などが展示される予定だ。

 こうのさんは「漫画は手紙のようなものだといいな、と思っている。友達からの手紙のように漫画を読んでくれるといいな、と思いながら描いている。実験的なことも、『こんな変わったことやってみたよ』と友達に伝えるような気持ちで描いている。原画展もそんな感じで見てもらい、漫画を描いてみたくなったと思ってもらえるといいな、と思っています」と語った。【庭田学】

毎日新聞

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