5月14日は「なごや平和の日」 制定尽力の高校生が映画に

2025/05/14 09:15 

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 太平洋戦争中の名古屋空襲の犠牲者らを追悼する「なごや平和の日」(5月14日)の制定に尽力した、東邦高(名古屋市名東区)の生徒らのその後にスポットを当てた映画「80年後のあなたへ」が16日から全国で公開される。

 名古屋空襲は1942~45年、市街地などが計63回の空襲を受け、死者は約7800人、負傷者は約1万人に上った。45年5月14日には米軍の爆撃機が最も多く飛来し、名古屋城も焼け落ちた。

 東邦高の生徒らは2014年以降、名古屋市や市議会に犠牲者を追悼する日の制定を求める請願書を提出するなどの活動を続けてきた。それがきっかけとなり、24年になごや平和の日が制定された。

 映画の舞台は、戦争で大きな被害を受けた名古屋市と、被害を免れた愛知県犬山市。

 「平和の日を制定できたけど、これで終わりでいいのかな?」と考えを巡らせる女子高校生ら若者7人が、恋や家族などを通して「この先の未来に残したいものは何か」という問いに向き合う青春群像劇だ。

 映画制作会社「The icon」(東京都)の宮崎和明さんは「名古屋と犬山に住む若者を軸に、『過去をどう捉えるか』という物語を作りたかった」と話す。

 戦後に生まれ変わった街と、戦前から変わらない街を映画で描くことで「未来に残したいもの」を表現できると考えたという。

 映画には、東邦高美術科の生徒らが平和の日制定を記念して制作した「戦後八十年 平和祈願図屏風(びょうぶ) 過去 現在 未来」(高さ180センチ、幅540センチ)も登場する。

 屏風制作メンバーの1人、東邦高2年の林愛織衣(あおい)さん(16)は「未来というキャンバスにそれぞれの思いで平和を描くきっかけになった」と振り返る。

 映画で主演を務める渡辺このみさん(17)は「戦後80年の今年、新たな平和の紡ぎ方を求めて学生たちが奮闘します。Z世代と呼ばれる私たちに何ができるのか。新しい平和の物語を劇場まで見にいらしてください」と呼び掛けている。【黒田麻友】

毎日新聞

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