谷川浩司十七世名人「永瀬九段、序盤の作戦まずまず」 名人戦第4局
第83期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)の第4局が17日、大分県宇佐市の宇佐神宮で始まった。藤井聡太名人(22)が第3局まで連勝し、挑戦者の永瀬拓矢九段(32)が土俵際に追い詰められて迎えた本局。立会の谷川浩司十七世名人は「通常の角換わりでない形になり、藤井名人がかなり時間を使った。消費時間に2時間以上の差が付き、永瀬九段の作戦はまずまずうまくいっている」といい、勝負の行方を見守っている。
◇羽生九段との戦い「つらい気持ちあった」
「第3局は永瀬九段としては不本意な一局だったが、第1局、第2局は終盤の最後まで分からない熱戦で、五分に近い戦いだった」
谷川十七世名人はこう分析し、3勝0敗というスコアほど将棋の内容は一方的ではないとみる。
「2人のタイトル戦での対戦は5回目。永瀬九段は4回負けて今回もカド番となり、藤井名人の強さ、藤井名人との差を感じる部分があるんだと思うが、ここで努力を諦めては絶対に勝てないという強い意志を感じる」と、負けても負けてもぶつかり続ける永瀬九段の強い意志に感嘆する。
永瀬九段の新年度に入ってからの公式戦成績は8勝4敗。週に約2局の過密日程だが、名人戦の3敗以外は棋聖戦挑戦者決定戦(対杉本和陽六段)に敗れた以外は全て勝っている。22日には王位戦挑戦者決定戦も控え、王将、名人に続く今年3回目のタイトル挑戦を視野に入れている。
谷川十七世名人は羽生善治九段と初めてタイトル戦で顔を合わせたのは1990年の竜王戦。4勝1敗で退け、タイトルを奪取したが、その後は92年度の竜王戦でタイトルを奪われたのを含めてタイトル戦で7連敗した。羽生九段に7冠達成を懸けて挑まれた95年の王将戦をフルセットの末に防衛して連敗は止まったが、翌年の王将戦で奪取され、7冠制覇を許した。「さすがに(7連敗の)最後の方はつらい気持ちもあった。今のところ、永瀬九段からははたから見ていて、そういうつらさは感じない。藤井名人と対局したい思いがあり、少なくとも顔も見たくないとは思っていない」と見る。
第4局は先手の藤井名人から角を交換する角換わりになり、午前中から藤井名人が長考に沈んだ。「永瀬九段は公式戦対局が多い。構想のストックをいくつも披露しているが、今回も序盤で工夫をして臨んでいる。どれだけ将棋に打ち込んでいるのかと驚いている」と谷川十七世名人は引き出しの多さに舌を巻く。
1日目はどのような戦いになるか。「午後に駒がぶつかるかもしれないが、すぐに中盤や終盤にはならない。永瀬九段は変則的な構えで受けて立っているので、仕掛けられても大丈夫と思っているはず。1日目は藤井名人の方が時間を使い、3時間くらい持ち時間の差が付いて1日目が終わるかもしれない」と予測した。
藤井名人が戦いの糸口をどのようにつかんでいくかが本局のポイントになりそうだ。【丸山進】
◇
取材は昼休憩前の17日午前にしました。午後5時3分、61手目で千日手が成立し、18日午前9時から指し直しになりました。先手番は永瀬九段となり、持ち時間は永瀬九段6時間26分、藤井名人3時間44分。千日手決定から1日目封じ手時刻、午後6時30分までの時間を両対局者で折半して、それまでの持ち時間から差し引きます。終局時刻は同5時3分だったため、43分ずつ差し引くことになりました。
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