琉球遺骨、返還ではなく「移管」 識者「京大は世界の潮流に反する」
旧京都帝国大(現京都大)の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村にある中世の墓所「百按司墓(むむじゃなばか)」から昭和初期に持ち出し、子孫らが返還訴訟を起こしていた「琉球遺骨」が90年以上を経てようやく同村に戻った。京大が同村教委と協議して「移管」した形だが、原告側は不十分な対応だと批判し、「元の墓への返還を求め続けていく」としている。
今帰仁村歴史文化センターの玉城靖館長によると、21日に受け取った遺骨は少なくとも26体。百按司墓から持ち出されて京大総合博物館(京都市)に保管されていた遺骨の全てとみている。京大と村教委が2024年12月に交わした協議書では「京大で保管している人骨の資料が現在に至るまで保存状態が良好で文化的な資産となっている。この人骨資料を、埋葬処理されることなく人類の貴重な学術資料として持続的に保管されることを条件に今帰仁村教委に移管する」とされていたという。
これらの遺骨を巡っては、子孫として祭祀(さいし)をすべく県民ら5人が京大に返還を求め18年に京都地裁に提訴。1審判決(22年)に続き、大阪高裁での控訴審判決(23年)でも原告敗訴となったが、京大は子孫や地元教育委員会との話し合いで返還の道を探るよう促されていた。今回の移管はそれを受けた対応とみられるが、元原告側には知らされていなかった。
元原告の松島泰勝・龍谷大教授(琉球先住民族論)は29日、毎日新聞の取材に「協議書は我々も含めて結ぶべきだった。研究用に戻すのは原告・遺族の心情を害する」と批判。「子孫の元に返還させ、埋葬ではなく伝統の風葬をして供養したい。村教委とも話し合い、協議書の内容を変えていく」と述べた。
京大の遺骨収集過程を文献調査したことがある同志社大社会学部の板垣竜太教授(文化人類学)は「返還請求の判決がなければ京大は持ち続けていたわけで、松島教授たちの運動の成果だが、今後も研究者がコントロール権を握るのなら返還とは言えない」と指摘。「植民地主義や人種差別への反省から大学や博物館が主体的に検証し、返還の動きを作っていくのが世界の潮流だが、京大はそうしておらず、反省も謝罪もない」と語った。【太田裕之】
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