唐揚げ1個… SNSで「貧相」批判の小学校給食 福岡市が改善へ

2025/06/13 07:45 

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 福岡市立小学校で4月に出された給食がSNS(ネット交流サービス)に投稿され「貧相」「寂しい」「少ない」などと批判された。市教育委員会の担当者は「エネルギーや栄養は足りているが、彩りも含めて考える必要があった」と説明。今後、民間の声も取り入れて、献立の改善を図っていく考えだ。

 市教委によると、批判を受けた給食は、主菜の唐揚げが1個で、それ以外はご飯とみそ汁、牛乳で計620キロカロリー。1食あたり600キロカロリーとする市の基準は満たしていた。

 唐揚げは1個約60グラム、155キロカロリーを基準に作り、通常の2個分の大きさがあるという。福岡市では少なくとも記録の残る1982年から唐揚げは1個。大きいサイズ1個にすることで、味付けや揚げる手間を省く狙いもあった。

 今回の批判を受けた見た目には、他にもいろんな理由があった。

 唐揚げの個数が2個では、「小学生が配膳する時間が大きく変わる」。唐揚げが小さいと、「大量に揚げる場合は火加減が難しく、水分が抜けやすく固くなりがち。大きいと柔らかくなりやすい」。見栄えに関しては、「食中毒防止のために唐揚げを作る場合は、最終工程で85度まで温度を上げられるものしか出さないため、ミニトマトやあえ物を付けることができなかった」。みそ汁にはその分の野菜を入れて具だくさんにしていたが、担当者は「工夫を考えたい」としている。

 福岡市の給食は中学校は学校給食センターで、小学校は各校で作られている。唐揚げの場合、給食センターには機械があり小さくても上手にできるが、小学校は「釜に油をためて揚げるのは、家の鍋を大きくしたようなもので、ほぼ手作業」(担当者)という現状もある。実際、中学校では2個(1個は約30グラム)で提供されている。

 近年の物価高は、学校給食の原材料費にも影響を及ぼしている。小学校の給食は、2025年度が1食当たり289・47円で、15年度の243・15円と比べて約2割高。だが、福岡市は保護者から徴収する給食費を月額4200円に据え置き、物価上昇分は公費負担を増やしながら対応してきた。25年度は中学校なども含めた全体で、22年度の約3倍となる約12億円を負担。さらに2学期からは市立小中・特別支援学校の給食費を無償化する予定だ。【山口響】

毎日新聞

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