国保未納や医療費不払いの外国人、在留審査を厳格化へ 骨太の方針

2025/06/13 19:03 

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 政府は13日に閣議決定した「骨太の方針」で、外国人の在留審査に社会保険料の未納や医療費の未払い情報を有効活用する方針を盛り込んだ。一定期間の滞納がある場合、在留期間の更新や変更を認めない措置を検討する。審査を厳格化して納付率の改善を図る。出入国在留管理庁と厚生労働省が情報を管理できるよう、システム改修を進め、2027年度からの運用を目指す。

 社会保険料のうち国民健康保険(国保)は、在留期間が3カ月超の中長期在留者で、勤務先の健康保険組合に入らない外国人や留学生が対象。23年度の加入数は97万人で全体の4%を占める。

 入管庁によると、現行のシステムでは外国人の国保料の滞納状況を入管側が一元的に把握できない。「特定技能」など一部の在留資格に限り、在留審査の際に納付証明書を提出させ、滞納が解消されない場合は期間更新を認めないような運用をしている。

 一方、医療費を巡っては、厚労省が医療機関を通じて20万円以上の未払いがある外国人観光客のデータを集約。情報提供を受けた入管当局が、該当する外国人が再び短期滞在で入国しようとする場合のみ再入国を拒否している。

 政府は対応を強化するため、入管当局が外国人全般を対象に国保の未納や医療費の未払い情報を把握できるシステムに改修し、在留審査に活用する考えだ。医療費の未払いについては、中長期在留を希望する外国人にも対象を広げ、再入国の事前審査の判断材料にする。

 厚労省によると、日本人と外国人を区別した国保納付率の全国的なデータはない。外国人の納付率を把握している全国約150の自治体を対象にした調査では、24年末の時点で全体の納付率93%に対し、外国人に限ると63%だった。

 外国人患者を受け入れた医療機関に対する23年度の調査では、未払い金があったとする医療機関は65・3%。このうち外国人の未払いがあったのは29・3%で、未払い金全体に占める外国人の金額は1・4%だった。【三上健太郎】

毎日新聞

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