日本製鉄のUSスチール買収成立へ 米政権がパートナーシップ承認
日本製鉄は14日、USスチールとの「パートナーシップ」がトランプ米大統領によって承認されたと発表した。日鉄は毎日新聞の取材に「日鉄がUSスチールの普通株100%を取得する」と述べた。日鉄の買収計画発表から1年半、曲折を経て米鉄鋼大手の大型買収が成立する見通しとなった。
日鉄の発表によると、日鉄は米政府との間で国家安全保障協定を締結し、経営上の重要事項に関して通常より強い拒否権を持つ「黄金株」を米政府に発行。2028年までに約110億ドル(約1・6兆円)をUSスチールに投資するのに加え、米国内での生産維持や通商問題に関する取り決めも交わした。
日鉄は「必要な全ての規制当局からの承認を取得した。パートナーシップは速やかに成立する」との声明を出した。USスチールの株式の何割を取得するかは公式に示していないが、日鉄は取材に「合併契約が完了する際には、USスチール株を100%保有するのが前提になっている」と答えた。
トランプ政権は13日、バイデン政権が1月に決定した日鉄の買収中止命令について、一定条件を満たせば見直す大統領令に署名した。米国と国家安全保障協定を結ぶことを条件にしており、日鉄側は黄金株の発行などで条件を満たした。これにより買収実現に向けた障害が取り除かれた。
トランプ氏は12日、「我々は黄金株を持ち、大統領がコントロールする。少し心配だったが、これにより完全に支配できる」と発言。1株でもあれば事実上、経営権を握れる黄金株取得により、「米国によるUSスチール支配」が維持できるとの認識を示した。「米国により51%が所有される」とも述べたが、「黄金株で、USスチール株の過半数を握るのと同じ効果を見込める」との趣旨だったとみられる。
日鉄は23年12月、経営不振に陥っていたUSスチールを141億ドルで買収すると発表した。だが、USスチールは米製造業を代表する名門企業で、24年11月の大統領選を有利に進めたいトランプ氏とバイデン前大統領は、ともに買収に反対する考えを示した。
バイデン氏は大統領選後の25年1月、「国家安全保障上、リスクがある」との理由で買収中止を命令した。だが、その後大統領に就任したトランプ氏はリスクを再審査するよう対米外国投資委員会(CFIUS)に指示。5月下旬に、日鉄とUSスチールの提携を承認する意向を示していた。【成澤隼人、ワシントン大久保渉】
◇国家安全保障協定
海外企業による米国企業の買収の際に、「国家安全保障」名目の懸念を払拭(ふっしょく)するために投資する企業と米国政府の間で結ばれる協定。生産拠点の国内維持や経営権の米国への配慮措置などを盛り込むケースが多いとみられる。日本企業では、ソフトバンクが2013年に米携帯大手スプリント・ネクステルを買収した際にも締結した。
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