京大iPS財団「my iPS製作所」開所 自動化で量産目指す

2025/06/20 16:14 

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 京都大iPS細胞研究財団は20日、患者自身の血液から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作る研究施設「Yanai my iPS製作所」の開所式を大阪市内で行った。手作業だった製造工程を自動化し、費用を抑えて量産できるという。財団理事長を務める山中伸弥・京大教授は「非常にチャレンジングなプロジェクト。患者さんに最適なiPS細胞を良心的な価格で提供できるよう精進したい」と語った。

 ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長から45億円の寄付を受け、大阪市の先進医療拠点「中之島クロス」に完成した。総工費は約15億円で、自動製造装置14台を導入。5月に臨床用iPS細胞の製造拠点として国の許可を取得した。

 患者自身の血液からオーダーメードで作ったiPS細胞は免疫拒絶のリスクを最小化することができるが、製造に時間がかかり、コストも高くなることが課題だった。今回の施設では、血液からiPS細胞を製造するまでの工程を自動化。費用を現在の50分の1の100万円程度に下げる。製造期間も3週間に短縮して年間1000人分を製造し、2028年度内の臨床試験開始を目標に掲げる。

 山中教授は記者会見で、iPS研究の今後について「症例数を重ねて国に承認を求めるためにもこれからが本番。国際的な競争も激しくなっており、国内の大学や企業がワンチームとなっていきたい」と話した。柳井氏も「世の中に役に立つ医療を進めてもらいたい」と期待を寄せた。【田中韻】

毎日新聞

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