鈴木法相「法治国家として厳正に対処」 座間9人殺害事件で死刑執行

2025/06/27 13:26 

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 鈴木馨祐法相は27日、神奈川県座間市のアパートで2017年に男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人などの罪に問われ、死刑が確定した白石隆浩死刑囚(34)の刑を同日、東京拘置所で執行したと発表した。死刑執行は、東京・秋葉原の無差別殺傷事件で22年7月に加藤智大(ともひろ)元死刑囚(当時39歳)に執行されて以来、2年11カ月ぶり。石破政権発足後は初めて。

 鈴木法相の臨時記者会見での主な発言は以下の通り。【北村秀徳】

 鈴木法相 本日、白石隆浩死刑囚の死刑を執行しました。概略について申し上げます。

 約2カ月の間に、9名の被害者に対し首を締め付けるなどの暴行を加えて殺害し、所持金を奪うなどし、その後9名の遺体を切断するなどし、箱に入れて隠匿するとともに、さらにその一部をごみ集積所等に投棄した。強盗強制性交等殺人、強盗殺人、死体損壊、死体遺棄の事件です。

 本件は自己の性的、金銭的欲求を満たすなどという、誠に身勝手な理由から、約2カ月の間に9名もの被害者の若く尊い人命が奪われる、極めて重大な結果を発生をさせて、社会にも大きな衝撃そして不安感を与えた事件であります。

 命を奪われた被害者の方々はもちろんのこと、ご遺族の方々にとりましても無念この上ない事件であると承知しております。

 本件につきましては、裁判において十分な審理を経たうえで、死刑判決が確定したものです。

 以上の事実を踏まえ、法務大臣として慎重な上にも慎重な検討を加えたうえで執行を命令した次第であります。

 Q 前回の執行から2年以上空いた。その間、袴田巌さんの再審無罪や死刑制度の見直しを訴える声などさまざまなことがありました。この時期に執行した理由を教えてください。

 鈴木法相 個々の判断に関わる、そうした事柄は申し訳ありませんが、お答えを差し控える。

 一般論として、死刑執行に関しては個々の事案、関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、そして再審について慎重に検討を行い、それらの事由がないこと、そういった場合に初めて死刑執行命令を出すことにしています。

 今回も慎重な検討を経て、執行をした。

 Q 白石死刑囚は再審請求をしていたのか。

 鈴木法相 私からつまびらかにお話しするのは差し控えたい。

 Q 今回の死刑執行に際し、大臣が決裁文書にサインしたのはいつだったのか。その時の心情は。

 鈴木法相 私の方で執行命令書にサインをしたのは6月23日。今週の月曜日。

 その時の気持ちということでございますが、申し上げるまでもなく、まさに死刑というのは人の生命を絶つ、極めて重大な刑罰。その観点から申し上げれば、その執行に対しては、慎重な態度で臨まなければいけないのは当然。

 その一方、法治国家として、確定した裁判の執行、これは厳正に行われなければならない。これは言うまでもないことです。

 死刑の判決、これは極めて凶悪かつ重大な罪を犯したものに対して、裁判所が慎重な審理を尽くしたうえで言い渡すもの。その中で法務大臣と致しましては、裁判所の判断を尊重しながら、法の定めるところに従って、慎重かつ厳正に対処することが必要であります。

 今回の件ですが、身勝手なそうした理由から、約2カ月の間に9名もの被害者の尊い生命を奪う、そういった極めて重大な結果を発生させた事案。

 先ほど申し上げた、お亡くなりになられた被害者、そしてご遺族の方々にとっても、無念この上ない事件。

 こうしたことを踏まえ、慎重な検討を経たうえで私として死刑執行命令を出した。

毎日新聞

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