介助犬ダイキチら愛媛県庁訪問 県内で活動はたった1頭…認知度課題

2025/06/27 15:39 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 身体障害者の日常生活をサポートする介助犬への理解を深めてもらおうと、横浜市の社会福祉法人「日本介助犬協会」(橋本久美子会長)のメンバーらと介助犬が24日、愛媛県庁を訪れた。協会によると、同県内で活動する介助犬は1頭しかおらず、店舗への同伴を拒否されるケースもあるという。

 介助犬は、盲導犬、聴導犬を含む補助犬の一種。落ちたものを拾ったり、必要なものをくわえてきたりして身体に障害を持つ人を助ける特別な訓練を受けている。同協会によると、介助犬を必要としている障害者は約1万5000人と試算されているが、活動中の介助犬はわずか57頭しかいない。介助犬を希望する場合、訓練が必要だが、障害者が宿泊しながら訓練できる施設は全国で1カ所しかないという。

 愛媛県庁には、介助犬ユーザーの藤原智貴さん(岡山市在住)と、介助犬のダイキチ(ラブラドルレトリバー、11歳、雄)が来庁。藤原さんはサーフィンの練習中の事故で胸から下が不自由になり、車椅子生活となったが、ダイキチと巡り合い、充実した日々を取り戻せたという。介助犬は10歳前後で引退するため、ダイキチはこの日が“仕事納め”。藤原さんの携帯電話を見つけ、口でくわえて渡すなどの仕事を実演すると、中村時広知事は「すごいね」などと拍手を送った。

 介助犬を含む補助犬の同伴を認める「身体障害者補助犬法」が2002年に成立したが、20年以上経過した現在も理解が進んでいないのが現状だ。同伴拒否のほか、介助犬の認知度が低いため、希望する障害者も少ないという。

 協会の高柳友子理事長は「介助犬は障害者にとって社会参加の手助けになる素晴らしい存在。愛媛県内にも1頭しかいないなど、全国的にも知られていないのが実情なので、関心を持ってもらえる機会を増やしていきたい」と理解を求めた。中村知事は「県内でも理解は進んでいるとは言えない。これを機に伝えていきたい」と話した。【広瀬晃子】

毎日新聞

社会

社会一覧>