大学ファンド、昨年度2560億円の黒字 財政支援を拡大へ

2025/07/04 15:30 

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 政府が設置した10兆円規模の「大学ファンド」を運用する科学技術振興機構(JST)は4日、2024年度の運用実績が2560億円の黒字(前年度比1393億円増)だったと発表した。海外株式の運用が好調だった。同年度に運用益から支援を受けたのは「国際卓越研究大」に認定された東北大だけだったが、政府は今後認定校を増やし、財政支援を拡大する。

 大学ファンドは世界トップレベルの研究大学をつくることを目的に、JSTが22年から運用を始めた。24年度は東北大に約154億円が助成された他、博士課程の学生支援として、全国の対象大学に計約167億円を助成した。

 24年度末の投資割合は債券65%▽株式25・7%▽未上場株式や不動産などのオルタナティブ8・2%。22年度は赤字だったが23、24年度は好調で、助成財源となる運用益は累計4087億円になった。このうち、最大で3分の1となる約1362億円を次年度の助成に使えるという。

 卓越大の2次公募には東京大や京都大など8校が申請した。今後、文部科学省の有識者会議が審査し今冬にも結果を発表するが、同省の小川浩司・大学研究力強化室長は「運用益ありきでなく、各大学の計画を見て判断する」と説明する。

 運用資産総額は11兆1056億円になった。26年度末までに年3000億円の運用益を出す目標を掲げるが、このままいけば達成できる可能性が高いという。JSTは「運用は順調」としている。

 また、文科省は米トランプ政権による研究予算削減によって影響を受ける研究者が多いことを考慮し、緊急的にファンドの運用益を活用し、海外の若手研究者の受け入れを支援する。受け入れる大学を公募し、選定校に今年度から3年間で33億円を助成する方針だ。【信田真由美】

毎日新聞

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