「全く解決していない」 旧統一教会問題巡り弁護士2団体が声明

2025/07/08 18:21 

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 安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件から3年を迎えた8日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による被害の救済に当たる二つの弁護士団体が、相次いで声明を公表した。

 山上徹也被告(44)は母親が教団に多額の献金をしたことで家庭が崩壊して教団への恨みがあったとされ、事件以降、教団による過去の不当な献金被害などが社会問題化した。

 両団体の声明はいずれも「今でもほとんどの被害者は救済されないままで、問題は全く解決していない」と訴えている。

 ◇教団に「謝罪と賠償を」

 声明を出したのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)と全国統一教会被害対策弁護団。

 全国弁連は「多くの被害者は何らの救済も得られないままであり、今後の被害抑止のための立法も不十分」と指摘。国に対して、献金被害に関する救済策の見直し▽教団の後継団体に対する監視体制▽親の信仰によって経済的、心理的な被害に遭いかねない宗教2世への支援策整備――などを訴えた。

 また、3月に東京地裁から解散命令が下ったことを受け(4月に即時抗告)、教団には「自らが生み出した過去の被害に誠実に向き合い、謝罪と賠償を」と求めた。

 ◇207人が60億円賠償求める

 被害対策弁護団では、被害を訴える207人が教団に対して返金と慰謝料計60億5367万円の賠償を求める集団交渉をしている。

 ただ、教団側はこうした訴えについて「つくられた被害」として、集団交渉には応じない意向を示している。

 声明では、こうした姿勢が「自浄作用の欠如と反社会的体質を示す」と批判。国には、解散命令が確定した後の清算手続きで被害救済が進むような立法措置を求めている。【春増翔太】

毎日新聞

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