胎児の病気を調べる出生前検査 相次ぐトラブルの背景とは
妊娠中に胎児の状態を調べる「出生前検査」への関心が高まっている。
生殖医療の進歩によって検査方法は多様化し、胎児の出産前に幅広く病気の情報を知ることができるようになった。
ただ、妊婦や家族は検査の情報を基に「命の選別」を迫られることになり、トラブルも相次ぐ。
出生前検査とはどのようなものなのか。
◇検査の種類はさまざま
出生前検査は種類によって受けられる時期や検査対象、精度が異なり、主に「確定的検査」と「非確定的検査」に分けられる。
確定的検査としては、羊水検査や絨毛(じゅうもう)検査が代表例として知られる。おなかに細い針を刺して染色体の異常を調べる。精度は高いとされるが、流産のリスクがある。
超音波検査をはじめとする非確定的検査には、流産のリスクはない。近年は、妊婦の血液から染色体異常を推定する「新型出生前診断」(NIPT)が「安全で精度が高い」として普及している。
もっとも確定的、非確定的のいずれの検査も全ての疾患が分かるわけではない。検査結果に誤りがあったり、出産後に別の疾患が判明したりすることもある。
◇無認証施設も急増
そもそも出生前検査は、子どもの病気を事前に把握して適切な養育や医療につなげることが目的の一つと説明されている。しかし、検査を受けた妊婦らは産むか産まないかという命の選別を迫られるのが実態で、倫理的な問題をはらむ。
とりわけ議論を呼んでいるのはNIPTだ。
NIPTは、日本医学会の指針に基づき、検査項目をダウン症候群、パトウ症候群、エドワーズ症候群の3項目に限定して、医学会が認証する施設で行われている。
ただ、指針は学会の自主規制に過ぎず、営利目的でNIPTをする無認証施設が急増。十分なカウンセリングがなされず、確定診断を経ないまま中絶を含む選択を迫られるケースも出ている。
国内の出生前検査は登録制度がなく、実施件数や施設数は把握されていない。検査を巡って、トラブルが訴訟に発展し、誤った検査結果を伝えたとして医院側に賠償が命じられた裁判例もある。
◇求められる遺伝子カウンセリング
「トラブルの背景には医師と妊婦側のコミュニケーション不足の可能性がある」とみるのは出生前検査に詳しい東京女子医科大学の松尾真理医師だ。
松尾医師は、出生前検査がどういうもので、結果が何を意味するのかについて、臨床遺伝専門医らが情報提供し、妊婦らの意思決定を支援する「遺伝カウンセリング」の必要性を説く。
「遺伝カウンセリングの重要性がまだ認識されておらず、医療施設によってばらつきがある。検査を受けようと思った背景について注意深く耳を傾け、妊婦らが抱える不安に寄り添う体制構築が医療施設側に求められている」と話した。【岩崎歩】
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