最高裁が「出し子」に逆転有罪判決 電子計算機使用詐欺の共謀認める

2025/07/11 15:05 

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 特殊詐欺で現金を引き出す「出し子」が、現金を振り込ませる行為に直接関わっていなくても電子計算機使用詐欺罪が成立するかが争われた刑事裁判の上告審判決で、最高裁第3小法廷(平木正洋裁判長)は11日、指示役らとの共謀を認め、罪が成立するとの判断を示した。その上で、一部無罪とした2審判決を破棄し、被告の男性(43)を逆転有罪とした。懲役4年とした1審判決が確定する。

 電子計算機使用詐欺罪は、コンピューターなどに虚偽の情報や不正な指令を与えて不法な利益を得た場合に適用される。高齢者らに現金自動受払機(ATM)を操作させ、現金を振り込ませる特殊詐欺も対象になる。

 被告は、何者かと共謀し、2021年10~12月、保険料の還付金を受け取れるとうそを言って9人に計約770万円を振り込ませた電子計算機使用詐欺罪に問われた。また、振込先の口座から他人名義のキャッシュカードで現金を引き出した窃盗罪にも問われた。

 弁護側は公判で、被告は現金を引き出しただけで、振り込ませる行為には一切関わっていないと主張。窃盗罪は認めたものの、電子計算機使用詐欺罪については指示役らとの共謀が成立しないとして無罪を主張した。

 1審・青森地裁八戸支部は23年3月、現金を振り込ませる行為と振込先から現金を引き出す行為には一体性があるとし、どちらの罪も有罪として懲役4年を言い渡した。

 これに対して、2審・仙台高裁は24年1月、被告は被害者に現金を振り込ませる行為の内容を把握していなかったと指摘。指示役らとの共謀を否定して電子計算機使用詐欺罪は無罪とし、懲役3年6月に減刑していた。【巽賢司】

毎日新聞

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