収束見通せぬトカラ列島地震 識者「行政は住民目線の防災再考を」
トカラ列島近海を震源とする強い地震が続いている鹿児島県十島村で、悪石島の住民が島外に自主避難を始めて11日で1週間となった。これまでに地震によるけが人は出ていないが、11日も震度3の地震が相次ぎ、収束は見通せない。火山や地震の防災に詳しい鹿児島大の井村隆介准教授(地質学)は「長引く揺れそのものが既に災害だ」と指摘し、住民目線での防災を訴える。【聞き手・平川昌範】
――これまでの行政の対応をどう見ていますか。
◆島民に避難してもらうタイミングが遅かったと感じます。島では早い段階で眠れない人や体調を崩す人が出ていました。長引く揺れで眠れず、ストレスで体調を崩すこと自体が災害被害です。建物が倒れたり崖が崩れたりすることで人的な被害が出ることだけが災害ではありません。
島の人々は我慢強く、自分から「逃げたい」とはなかなか言い出しません。だからこそ行政が避難に向けて背中を押してあげる必要があります。ただ、費用負担の問題があり、村だけでは動きにくい面もあります。県や国がもっと早く動くべきでした。
――地震の状況次第では避難生活が長引く可能性もあります。
◆避難先のホテルでの生活が快適だと誤解する人もいるかもしれません。しかし大切な人や動物、財産を遠いところに置いたまま、家がどうなっているか分からない中で避難するのは心身ともに大きな負担です。
このため、一時的に帰島して家などの様子を見てもらうなど、柔軟な体制を整えるべきでしょう。今後、村が帰島できると判断した場合も、一斉帰島ではなく「もう少し避難していたい」という人の選択肢を残すことも必要です。ホテルのロビーなどで住民同士が顔を合わせる機会を作るのもいいでしょう。
大事なのは、残った住民も避難した住民も、社会から「忘れられていない」と感じられることです。
――鹿児島県の地域防災計画には、群発地震の際にどういう基準で避難を開始するのか盛り込まれていません。
◆鹿児島県と宮崎県では1968年に火山性の群発地震「えびの地震」があり、長期間続く地震を経験しています。こうした過去の地震や今回の事例も踏まえ、群発地震をあらかじめ想定した対応規定をきちんと整備すべきでしょう。
報道を見ると、地震のメカニズムや避難の動きばかりに注目が集まっているように見えますが、大事なのは住民の命と生活です。群発地震の中で住民の健康をどう守るのか。今回の地震を、住民目線の防災対応を考える機会にしてほしいと思います。
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