避けて通れない税と社会保障、候補者の考えは? 毎日新聞アンケート

2025/07/11 19:30 

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 毎日新聞は参院選の全候補者522人を対象とするアンケートを実施し、消費税のあり方などについて考えを尋ねた。自民党は消費減税を否定しているが、自民候補で「当面は10%を維持すべきだ」と答えたのは63%にとどまった。一方、国会議員5人以上の政党のうち、野党各党は減税を求める候補が大半を占め、全候補者の7割弱に上った。大規模な減税や消費税廃止を掲げる一部野党は、社会保障を巡り給付も負担も抑制する「小さな政府」を志向する傾向がみられた。

 ◇与党でも根強かった減税論

 与党は「社会保障などの財源を傷つけてはならない」(石破茂首相)として、減税に否定的だ。物価高対策として、全国民を対象とする2万~4万円の現金給付を公約に掲げる。

 ただ、参院選の公約を策定する際、与党内でも減税を求める声が根強かった。こうした事情を反映し、自民の14%、公明党の13%は「食料品の税率をゼロにすべきだ」と回答。自民には「全ての税率を5%に引き下げるべきだ」が3%、「消費税を廃止すべきだ」も4%おり、党内で考え方に幅がある。

 ◇対する野党は減税や廃止掲げる

 一方、野党は消費税廃止や減税を軒並み公約に掲げ、それに沿う回答になった。立憲民主党の80%、日本維新の会の93%が「食料品の税率ゼロ」を選んだ。共産党の94%、国民民主党の88%が「全ての税率を5%に引き下げ」と回答。れいわ新選組は100%、参政党は89%が「消費税を廃止すべきだ」との考えを示した。野党で税率維持と答えたのは、立憲の4%、国民民主の2%にとどまった。

 消費税収は社会保障や子育て支援に充てられ、減税する場合は他から財源を確保する必要がある。減税による税収減は、「食料品の税率ゼロ」は年約5兆円、「一律5%に引き下げ」は年約15兆円、廃止なら年約25兆円と試算される。

 ◇社会保障維持には「小さな政府」の志向

 アンケートでは、社会保障制度の維持と国民負担のあり方についての考えも聞いた。「国民負担を増やして給付水準を維持すべきだ」は全体の19%で、「給付水準を下げて国民負担を抑えるべきだ」は34%だった。手厚い社会保障など「大きな政府」より、財政支出の少ない「小さな政府」を志向する候補が多かった。

 政党別では「負担増で給付を維持」が立憲の53%、自民の32%で、「給付を引き下げて負担を抑制」は参政の60%、国民民主の51%と続いた。

 ◇議論が必要?「無回答・その他」約4割

 「負担増で給付を維持」と回答した候補のうち、32%が「消費税率維持」、41%が「食料品の税率ゼロ」と回答し、税収減の少ない選択肢を選ぶ傾向があった。一方、「給付を引き下げて負担を抑制」とした候補では「消費税廃止」32%、「全ての税率を5%に引き下げ」23%、「食料品の税率ゼロ」22%と続き、8割近くが減税を選んだ。

 少子高齢化が進む中で社会保障制度の維持には、借金を重ねない限り、増税など国民負担の議論が避けられない。容易に答えを出せない課題のため、「無回答・その他」が全体の約4割に上った。自由記述では「無駄を削減して給付水準を維持」「税制改革や軍事費の削減で財源を確保」などの意見があった。

 アンケートには計482人が回答し、11日午後5時時点の回収率は92・3%だった。【光田宗義】

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 質問と選択肢の詳細は「毎日新聞ボートマッチ・えらぼーと」をご覧ください。

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