琥珀に大集合 恐竜時代の寄生バチの化石を発見、新種か 岩手・久慈

2025/07/11 16:45 

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 岩手県久慈市の約9000万年前の地層から、寄生バチの一種シリボソクロバチ類の化石が複数閉じ込められた琥珀(こはく)が見つかったと、久慈琥珀博物館や福井県立大などのチームが発表した。同類の発見は日本初で、新種の可能性がある。さらに一つの琥珀に6匹を含んでおり、これほど多くの個体を含む琥珀が見つかるのは世界でも珍しいという。

 同博物館の琥珀採掘体験場からはこれまで、恐竜や翼竜、サメなど、恐竜が栄えた白亜紀後期の貴重な化石が多く見つかっている。昆虫が閉じ込められた琥珀も多く産出しており、大山望・福井県立大助教(古昆虫学)は134標本から11目9科の昆虫とクモ類を特定してきた。

 今回の化石は2017年、琥珀を工場で加工用に選別する際に見つかった。大きさ約3センチの琥珀に6個体、1・5センチの琥珀に1個体が入っていた。体長は約3・5~4ミリで、メス2匹、オス2匹、不明3匹だった。

 レーザー顕微鏡で体の構造や羽の模様を分析したところ、寄生バチのシリボソクロバチ類の昆虫と結論づけられた。同類の中には、絶滅種だけでなく現在も生きている種類もいる。現生の寄生バチは巣を持たずに単独で生活するため、集まって一つの琥珀に閉じ込められることはとても珍しいという。

 大山助教は「現生の仲間が寄生する甲虫の化石も久慈の琥珀から見つかっており、産卵や羽化のタイミングで集まった可能性がある」と話す。今後、さらに詳細な構造を分析し、年度内にも新種として論文を投稿する予定という。【三股智子】

毎日新聞

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