個人情報保護法改正案 利用緩和と漏えい業者へ課徴金「セットで」
5月23日付で個人情報保護委員会(個情委)委員長に就任した手塚悟氏(66)が、毎日新聞のインタビューに応じた。提出を目指している個人情報保護法(個情法)の改正案について、現行法では本人同意を原則としている個人データ利用の規制緩和と、課徴金制度の導入を、セットで盛り込む方針を示した。経済界は同意規制の緩和を求める一方、消費者団体が導入を求める課徴金は「データ利用を萎縮させる」と反対しており、法案提出の障壁になっていた。
手塚氏は「G7(主要7カ国)の中で課徴金の導入を決めていないのは日本だけ、というのは産業界にとっても良くない」と指摘。個人データの本人同意の緩和も他国が行っているとして、「産業競争力を維持しながら個人データ保護をはかる上で、課徴金や団体訴訟の制度は消費者にとって抑止力になる」と話した。
法案提出のタイミングについては「時期ありきではない」と明言を避けたが、「各界の意見を捉えて丁寧に説明し、まとめていく局面に来ている」と述べ、提出する環境が整いつつあるとの認識を示した。
氏名や生年月日など個人のプライバシーに関わる情報の権利を守るための個情法は、情報技術の進展に対応するため、3年ごとの見直しが定められている。
2022年の改正法施行から25年で3年になることから、個情委は改正案を検討。大規模な個人情報漏えいなどをした業者に対する課徴金制度と、集団で企業に個人情報の利用差し止めなどを請求する団体訴訟制度の導入を視野に、6月に閉会した通常国会への提出を目指したが、見送られていた。
一方、生成AI(人工知能)などデジタル技術の飛躍的な発展に伴い、医学や製薬の研究で個人データの利用が進んでいるが、現行法では、データの第三者提供や、病歴など要配慮個人情報の取得には、原則として本人の同意が必要となっている。
この規定がAI向けの学習データ提供の障壁にもなっているとされ、経済界は個人の権利や利益に影響がないデータ利用の本人同意について法改正で緩和を要求。これに対し、日本弁護士連合会などは不適正利用などへの懸念から、慎重な意見を出していた。
手塚氏は長野県生まれ。慶応大工学部卒業後、日立製作所に入社。マイナンバー制度の基盤になる電子認証技術の開発に取り組んだ。慶応大環境情報学部教授などを歴任し、14年に特定個人情報保護委員会(16年に個情委に改組)が発足した際に非常勤の委員に就任し、5年間務めた。【斎藤良太】
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