重要局面も争点化せず 17基立地の北陸、転換点迎える原子力政策
20日投開票の参院選では、物価高対策や社会保障が争点になる一方、候補者がエネルギー政策に言及することは少ない。しかし、前回参院選からの3年間で、政府は東京電力福島第1原発事故後の原発依存度低減の方針を転換し、原発回帰を鮮明にした。現在、具体化に向け、増大した建設コスト対策など国民負担を伴う議論が進む。福井、石川両県に廃炉中も含めて計17基の原発が立地する北陸にとって関係の深いテーマの現状を整理する。
前回参院選(2022年7月10日)直後の7月29日、政府は新技術を盛り込んだ次世代原発を、2030年代に建設・運転開始する工程表の骨子案を示した。自民党は、参院選の公約で「安全が確認された原発の最大限活用」を掲げていたが、新増設やリプレース(建て替え)にまでは踏み込んでいなかった。
翌8月には当時の岸田文雄首相が原発回帰の方針を打ち出し、政府は次世代原発の建設に向けた検討を本格的に開始。23年5月には、エネルギー関連5法案の改正を抱き合わせた「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」を成立させた。脱炭素における原発の活用を「国の責務」と位置づけてリプレースに道筋をつけたほか、福島事故後に設定した「最長60年」を超えた原発の運転も可能にした。
今年2月には、国のエネルギー政策の基本方針となる「第7次エネルギー基本計画」を閣議決定。6次計画まで維持してきた「原発依存度を可能な限り低減」の文言を削除し、既設炉の廃炉を決定した事業者のリプレースも認める内容とした。
さらに計画は、原発を含む「脱炭素電源」への投資促進も国の責務と位置づける。電力の契約は自由化された一方で、原発の建設コストは安全基準の厳格化などで増大しており、採算性が危うくなっているためだ。
政府や電力会社はこれまで、燃料費など発電に直接関係する費用が安いことから、「原子力は安価」とうたってきた。しかし、現状では直接的なコストでも優位性は失われつつあり、「最大限活用」を進めれば、国民負担の増大は不可避だ。
既存原発も含め、人件費など固定費の支援を向こう20年保証する「長期脱炭素電源オークション」が既に導入されているが、電力会社からはさらなる支援の拡充を求める声もあるという。経済産業省は、原発の建設コストを、原発を持たない電力会社も含めて電気料金を通じて、全消費者に負担させる案を検討している。
一方で、後継炉の規制基準などはまだ決まっていない。電力会社による新増設の計画もまとまっておらず、このまま原発回帰を進めるのか、立ち止まるのか、選択の余地は残されている。
原発の国民負担に詳しい龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は、第7次エネルギー基本計画の策定後、最初の国政選挙であることを指摘した上で、「原発は一度作ることを決めると、100年ほど背負わなければならない、柔軟性のない選択肢である上、経済的に割に合わない。長期間にわたる大きな負担を背負わされようとしていることについて、国民はよく考えてほしい」と訴えた。【高橋隆輔】
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