「再び繰り返されないよう」 19年ぶり原爆の絵碑設置で除幕式
惨禍の記憶を伝えようと、被爆者が描いた絵を陶板にして広島市内の街角に置く「原爆の絵碑」が19年ぶりに制作され、原爆ドームに近い河岸緑地で22日、除幕式があった。碑には4枚の絵が組み合わされ、「再びこの風景が地球上に繰り返されないよう」というメッセージが添えられた。
絵碑は、これまでに市内の寺や教会、病院など10カ所に設置されている。被爆から80年がたつのを機に、市民グループ「被爆者が描いた原爆の絵を街角に返す会」が11カ所目を企画した。
会は脚本家の故・早坂暁さんの呼びかけに応じた市民有志らが2002年に結成した。早坂さんは終戦直後、山口県から郷里の愛媛県への帰途、広島の惨状を目の当たりにした。
その後、胎内被爆した主人公を吉永小百合さんが演じたNHKテレビドラマ「夢千代日記」など、原爆や戦争をテーマにした名作を手がけた。
絵碑は設置場所の確保などの問題で、06年秋以降は途絶えていた。それでも、25年で原爆投下80年の節目となるのを前に、新たな絵碑をつくろうという声が上がり、広島市と協議しながら準備していた。
今回設置したのは、原爆投下目標だった相生(あいおい)橋の西詰めの川岸。絵と説明文を焼き付けた陶板は縦70センチ、横130センチ。高さ60センチの台座は、現地に近いサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」の建設時に、旧陸軍施設跡で発掘された被爆遺構の石畳を使った。
4枚の絵の一つは、被爆1時間余り後に木村正さん(故人)がこの付近で見た光景だ。遺体が橋を埋め尽くし、眼下の川を漂う。
絵碑に近い市立本川小学校の元校長、奥原球喜さん(79)=大阪市=の絵は、逃げようと川に飛び込む子どもたちが描かれた。本川小の前身、本川国民学校で九死に一生を得た居森清子さん(故人)の体験に基づいている。
黒焦げの男児を描いた絵は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞したことを受け、ノルウェー・オスロで展示されている。
制作費約500万円は、全国の生協を中心としたカンパでまかなった。
除幕式で「返す会」の会長で、広島県生活協同組合連合会の岡村信秀会長(76)は「早坂さんは原爆の絵を被爆者の『遺画(ゆいが)』と呼んでいた。被爆80年にふさわしい場所に絵碑を置くことができて感慨深い」と話し、奥原さんは「ここは鎮魂の場所。訪れる人が対岸の原爆ドームを臨み、その心が平和への道につながってほしい」と語った。【宇城昇】
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