写真探しています 日本橋高島屋が屋上で飼ったゾウの「タカちゃん」

2025/08/08 17:18 

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 日本橋高島屋(中央区)は、戦後復興途上の1950年から4年間、本館(8階建て)屋上で飼ったゾウ「タカちゃん」の写真を募集している。戦時中に動物園の多くの動物が処分され、ゾウが少なかった当時、タカちゃんは絶大な人気があった。応募写真の一部は、来年開催するタカちゃん関連の企画展で展示する。担当者は「『背中に乗ったら怖かった』などの思い出と一緒に送ってほしい」と呼びかけている。

 タカちゃんはタイ生まれの雌で、50年5月に来日。当時、体重560キロ、体高1・3メートルの子ゾウだった。木箱に入れ、クレーンで屋上につり上げた。

 名前は公募でタカちゃんと決まった。性格はおとなしく、背中に子どもを乗せるなど、直接触れ合うこともできた。また、ラッパを吹いたり、鼻でバチを持って太鼓をたたいたりして来店客を喜ばせた。

 屋上にはゾウ舎や飼育係の管理棟も整備して世話をした。4年後には体重が3倍以上の1・8トン、体高も1・8メートルに大きく成長。54年5月に上野動物園に引き取られた。その際は、屋上で階段を下りる練習をした後、店内の階段を歩いて地上に下りた。

 企画展は「ゾウに乗る―デパートの屋上に暮らしたタカちゃん(仮称)」と題して来年3~8月に開催予定。担当する高島屋史料館TOKYOの海老名熱実学芸員は「なぜ日本でゾウが熱狂的に受け入れられてきたのか、その変遷をひもとく企画展にしたい」とし、「タカちゃんが平和を発信し、復興の象徴でもあったことを、日本のゾウの歴史に位置づけたい」と意気込む。

 募集は11月4日まで。写真は、同店の屋上でタカちゃんと人物がともに写り、応募者が著作権を持っている――などの条件がある。問い合わせは高島屋史料館TOKYO「タカちゃん係」(03・3211・4111)。【遠藤和行】

毎日新聞

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