不妊症の着床前検査、対象拡大へ 35歳以上の女性が目安

2025/09/06 20:11 

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 不妊治療の一環として、体外受精させた受精卵の染色体を調べる着床前検査について、日本産科婦人科学会(日産婦)は6日、流産や死産を繰り返す夫婦などに限っていたルールを見直し、高年齢の不妊症の夫婦にも広げる方針を示した。35歳以上の女性を目安とする。8日にも新たな運用を始める。

 受精卵の染色体異常は、不妊症や流産を繰り返す不育症の一因となる。検査で正常な受精卵を母胎に戻すことで、流産を減らし妊娠率を高めるとの期待があるが、倫理的な課題もあり、日産婦は慎重に運用を進めてきた。

 2022年から始まった一般診療では、検査をしても患者あたりの出産率の向上は見られないなどとして、対象を体外受精で繰り返し妊娠できなかったり、流産や死産を繰り返したりした夫婦に限定してきた。一方、不妊治療中の夫婦などからは、流産を経験しなくても初めから検査を受けられるよう求める声が出ていた。

 日本生殖医学会は4月、体外受精で多くの受精卵ができた高年齢の患者については、着床前検査で1回の胚移植あたりの出産率が改善するなどの有効性が研究で示されつつあるとして、検査対象を広げるよう日産婦に要望していた。

 日産婦の三浦清徳・臨床倫理監理委員長は記者会見で「海外の研究成果も出つつあり、医療現場の実情に合わせて変更した」と説明した。一方、「(染色体の数が異なる)ダウン症などを排除するような、スクリーニング目的の検査ではない」と強調した。【寺町六花】

毎日新聞

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