「カンカン照りで…」 ZOZOマリン再整備、パブコメにドーム望む声

2025/09/09 16:15 

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 千葉市はプロ野球・ロッテの本拠地、ZOZOマリンスタジアム(同市美浜区)の再整備構想に関して、募集していたパブリックコメント(パブコメ)の結果を発表した。暑さへの懸念から「ドーム型球場にしてほしい」という意見が目立った。市は建設コストの高いドーム化には慎重だが、猛暑続きで熱中症疑いの観客が続出しており、野球ファンから厳しい声が相次いだ。

 ◇熱中症疑いで医務室利用8月23件

 「カンカン照りの中で孫を連れて野球観戦きついです」「年々ひどくなる夏の酷暑に選手たちも観客もついていけていません。クーラーを効かせられるようにしなくては厳しいです」

 パブコメは7月4日から1カ月間募集され、暑さを懸念する意見が続々と寄せられた。これを受けて市は、基本構想に「民間投資によるドーム化の可能性を排除しているわけではない」と明記し、以前より今後のドーム化に含みを持たせる記述を増やした。

 現在のスタジアムは市が所有しロッテが指定管理者となっている。市によると、8月のプロ野球の試合開始時の気温は28~34度で、14日中12日は30度を超えていた。

 ロッテは氷のうを持参した客に氷を配るキャンペーンなどをしている。それでも8月に熱中症疑いによるスタジアムの医務室利用は23件あったという。

 市がスタジアムの再整備の方針を発表したのは5月だ。老朽化のために建て替えの必要性を強調し、再整備の費用を約650億円と見積もった。もし開閉型のドームを建設するなら1000億円を超え、「コストメリットや投資回収の可能性から、屋外型スタジアムに優位性がある」と説明した。

 だがそれに対してファンなどから批判的な声が集まった。パブコメに寄せられた意見は128人から433件。市のまとめによると、主な意見は①球場の使用・併設施設に関すること(観客席、コンコース、暑さ対策等)146件②ドーム化に関すること122件③事業手法や資金調達に関すること45件――で、暑さ対策やドーム化に関わることが多かった。

 中には、埼玉西武ライオンズの本拠地ベルーナドームは冷房が利かず熱中症になったので行かなくなったという体験談や、北海道日本ハムファイターズのエスコンフィールド北海道は快適だなどと他球場との比較も見られた。

 新スタジアムの暑さ対策について市は、「観客席上部への屋根設置やミストシャワーの設置など」を挙げ、費用も考えながらより効果の高い対策を検討するという。

 市は財政面に加えて「地域資源の活用、現スタジアムの歴史の継承」も屋外型にする理由に挙げ、「潮風の匂いなどを新たなスタジアムにも息づかせる」と説明している。しかし、「海風を肌で感じてもメリットと思わない(ベタベタする)」と厳しい意見が寄せられた。

 一方、ドーム化を望む声に比べて少数だが、「夏は花火が見れて楽しい」など屋外型を支持する声もあった。

 市は今後、民間事業協力者の募集や基本計画の検討に入る。新スタジアムの開業は2034年を目指している。【平塚雄太】

毎日新聞

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