学長「限界に達した」 名工大、授業料値上げへ 首都圏以外で初

2025/09/26 18:15 

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 名古屋工大(名古屋市昭和区)は26日、2026年度以降入学の学部生、27年度以降入学の大学院博士前期課程学生の授業料を各年間約10万円引き上げると発表した。現行の53万5800円から、文部科学省が省令で定める上限の64万2960円に改める。

 文科省によると、国立大で表明したのは24年9月の東大以降では初。また、初めて首都圏以外の国立大が値上げに踏み切ったことで、国からの運営費交付金の減額などで逼迫(ひっぱく)する各地の国立大にも影響を与えそうだ。

 記者会見で小畑誠学長は「我々は自助努力で頑張ってきたが限界に達した」と打ち明けた。物価高騰、運営費交付金の減少などで大学経営が圧迫されている現状を説明。教育設備の劣化も進んでおり、学生の修学環境の改善・向上のため費用の確保が必要と判断したという。

 小畑学長は「経費高騰などは首都圏にとどまらず全国共通の問題。値上げは学生のための修学環境を永続的に改善・向上させるもの」と理解を求めた。

 この値上げにより、30年度に5億5000万円の増収を見込む。最先端の実習機器の整備や更新のほか、空調など快適なキャンパス環境、教職員の体制強化などに充てるという。

 名工大は1949年設立の工科系単科大学。中京地域の産業界に多くの人材を輩出している。

 文科省の担当者は「教育・研究の質を上げるなど、各大学の置かれている状況に応じてご判断いただくこと」と話している。【川瀬慎一朗】

毎日新聞

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