梅は耐えて実を結ぶ…「海の警察官」全国の任地へ 海保学校卒業式

2025/09/28 14:16 

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 海上保安学校(京都府舞鶴市長浜)で27日、石破茂首相が参列して卒業式があった。卒業生156人は海上保安官として全国の任地に向かい、「海の警察官」として活動を始める。【塩田敏夫】

 卒業生は船舶運航システム課程の航海、機関、主計、整備の各コースで学んだ。松浦あずさ校長は式辞で、海上保安庁の花である梅について語った。長い冬に耐え、かぐわしい香りを放ち、散ると実を結ぶ。実は梅干しとなって「日の丸弁当」となる。梅は常に国民に寄り添う海上保安官としての決意の象徴である、と語りかけた。

 そして「心配しなくていい。ここでの教育を乗り越えたあなたがたは梅のように困難を乗り越えて咲く力がちゃんと備わっている。輝かしい未来へ笑顔で力強く第一歩を踏み出してください」と激励の言葉を贈った。

 海上保安庁の瀬口良夫長官は「正義仁愛の精神を胸に、仲間とともに持てる能力を遺憾なく発揮してほしい」と訓示した。

 府立東舞鶴高出身で舞鶴海上保安部の巡視船「わかさ」に配属される山口翔真さん(20)は取材に「学校で学んだことを生かし、たくさんの経験を積みたい」と抱負を語った。府立海洋高出身で同海保の巡視船「だいせん」に配属される長谷川果帆(かほ)さん(21)は「現場に出たら早く仕事を覚えたい」と話した。

 ◇石破首相が祝辞 記念植樹も

 海上保安庁のヘリコプターで海上保安学校に到着した石破茂首相は、早速、学生の分隊行進を見守った。

 卒業式の祝辞で首相は、1999年の「能登半島沖不審船事件」で初めて発動された海上警備行動に言及した。北朝鮮の不審船が日本の領海に侵入し、海上保安庁と海上自衛隊が追跡した事件で、日本の安全保障の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになり、その後の防衛政策に大きな影響を与えた。

 石破首相は「国会や自民党でこの問題を議論し、今も議論している」と述べたうえで「海上保安庁と海上自衛隊の連携は政治の責任。今後とも主権、国民の生命、財産を守るため全力を尽くす」と語った。卒業式後、首相は校内で梅の記念植樹をし、学生たちと記念撮影をした。

毎日新聞

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