震災犠牲職員の石碑巡り町民説明会 出席者から異論も 岩手・大槌

2025/09/28 21:53 

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 岩手県大槌町は28日、東日本大震災で犠牲になった町職員の遺族有志の会が役場跡地に計画中の石碑に関する町民説明会を開いた。町は「震災伝承に必要と判断した」と建立に理解を求め、出席者から異論も出た。平野公三町長は取材に「建立を認める方針は変わらないが、説明を尽くす必要がある」と述べた。

 大槌町は2011年3月の震災で、高台ではなく、町中心部の役場前に災害対策本部を設置。津波の直撃を受け、当時の町長と職員計40人が犠牲になった。

 遺族有志の会は23年3月、役場跡に犠牲者名を刻んだ追悼碑を建てようと町に要望。町は25年8月、名前を外した伝承碑であれば認める方針を示し、遺族も同意した。碑文には町が震災直後、低地にあった役場前に災害対策本部を設置したことを不適切だったとする文言を盛り込む。

 町内には役場跡地への建立に対して「つらい記憶がよみがえる」などと異論があることから、町が理解を求めようと説明会を開いた。町議会が町に書面で提出した「現役場の敷地内がよい」「新旧問わず役場以外の場所が望ましい」などとする意見も紹介された。

 説明会は午前と午後の2回開かれ、計16人が参加した。70代女性は碑の文案に「追憶」の文字があることに触れ「役場跡地は石碑を建てて震災当時をしのぶ場ではない」と述べ、閉会後の取材に「震災で1000人以上の町民が亡くなった。石碑は町職員の犠牲者を優遇していると思う」と語った。【奥田伸一】

毎日新聞

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