防衛相「適切」 知事は発言撤回 静岡の竜巻被害で自衛隊派遣見送り

2025/10/03 21:49 

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 国内最大級の竜巻被害を受けた静岡県牧之原市の杉本基久雄市長が、自衛隊派遣要請の基準の再検討を求めた問題で、中谷元・防衛相は3日の閣議後記者会見で、自衛隊と県の間で「自治体で対応可能」という認識を共有したため要請がなかったと指摘し、「適切な対応がなされた」との見解を示した。一方、県は「見送りは自衛隊の判断」としていた従来の説明を誤りと認め「以後こういうことがないよう気をつける」と謝罪した。

 牧之原市は9月29日、自衛隊派遣要請を県に3回求めたが、いずれも不要と判断されたと明らかにした。鈴木康友知事は翌30日の定例記者会見で、自衛隊との事前協議で派遣を打診したが、災害派遣の要件となる「公共性」「緊急性」「非代替性」を満たさず、派遣しない方針を伝えられたと説明。「3要件のどれに該当しないと自衛隊が判断したか把握していない」としていた。

 しかし、自衛隊の荒井正芳・陸上幕僚長は10月2日の定例記者会見で、県が確認した被害状況を踏まえ、3要件に該当しないという判断で「県と認識を共有した」と強調。県の説明を事実上否定した。

 県の酒井浩行・危機管理監は3日、記者会見し、「改めて確認したところ、担当職員が自衛隊と事前協議する中で、『非代替性』に欠けるという意見を述べていたことが分かった」と説明した。

 杉本市長は3日、「県と自衛隊には発災直後の現地の状況を見て判断してほしかった。3要件の基準を明確に分かりやすくしてほしい」と述べた。【丹野恒一、松浦吉剛、藤倉聡子】

毎日新聞

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