先発は「融資係」 四国銀行、3大会ぶり代表権 日本選手権四国

2025/10/03 16:22 

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 ◇第50回社会人野球日本選手権四国地区予選代表決定第2戦(3日、香川・レクザムボールパーク丸亀)

 ◇○四国銀行3―0JR四国●

 驚きはなかった。むしろ、「その覚悟で予選に臨んでいた」と言うから頼もしい。

 勝利の余韻に浸っていた2日の第1戦直後のベンチ内。「もう一発いくぞ」。監督から2試合連続となる先発を告げられた四国銀行の田井惣士は「やってやるぞ」と燃えていた。

 序盤は疲れも見られたが、尻上がりに調子を上げた。140キロ台前半の直球には威力があり、カットボールやフォークも交えて的を絞らせなかった。

 最大のピンチは1点リードの六回。1死から失策と四球で逆転の走者を出し、JR四国の看板打者である3番・篠崎康を迎えた。

 第1戦から打ち取っていた変化球を、相手が狙ってくると読んだ。フォークで空振りさせて追い込むと、145キロの高め直球で空振り三振。次打者を右飛に仕留めて乗り切り、雄たけびを上げた。

 第1戦に続き6回無失点。第2戦で許した安打はわずか1本と、ほぼ完璧な内容で2試合連続の零封勝ちを呼び込んだ。

 びっくりするようなスピードボールや変化球を持ち合わせているわけではない。だからこそ、相手打者の反応を見ながら、狙いやタイミングを外す投球術を磨いてきた。

 入社3年目で飛躍したきっかけには、桂浜通支店の融資係として勤務する仕事も生きている。田井は「仕事を通じて、感情のコントロールがマウンド上でできるようになった」と語り、「日本選手権では挑戦者として向かっていきたい」と力を込めた。【村上正】

毎日新聞

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