米9月雇用統計、政府機関閉鎖で公表見送り 政策対応遅れの懸念

2025/10/03 18:11 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米労働省は3日、予定されていた9月の雇用統計の公表を見送った。1日から始まった連邦政府の一部機関閉鎖に伴い、公表元の労働統計局が業務を停止しているため。足元で雇用市場の減速が際立つ中、的確に経済実態を把握できず、政策対応が遅れる懸念がある。

 閉鎖に先立ち、労働省は業務停止の対象機関に労働統計局を挙げていた。政府閉鎖が長期化すれば、雇用統計以外でも、15日に予定される9月の米消費者物価指数の公表なども影響を受ける。米メディアによると、2013年に起きた政府閉鎖の際には、雇用統計を含む数十件の経済統計の公表が延期された。

 米経済は、足元で雇用の失速を示すデータが相次いでいる。非農業部門の就業者数は7、8月とも市場予想を下回った。さらに労働省は9月、基準改定の暫定値として、3月までの1年間の就業者の伸びを大幅に下方修正した。

 これらを踏まえて米連邦準備制度理事会(FRB)は9月、景気下支えのため利下げ再開に踏み切ったが、「トランプ関税」の影響もあり、大幅なインフレ(物価上昇)を誘発する懸念も残り、今後の政策判断は難しさを増している。FRBは今月28~29日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開き金利政策を議論するが、投票権を持つシカゴ連銀のグールズビー総裁は9月30日、「経済が転換期にあるか判断する局面で公的な統計を得られないのは痛ましい」と指摘した。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース