貸金庫の顧客金品3.9億円を窃盗 三菱UFJ元行員に懲役9年判決

2025/10/06 15:09 

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 三菱UFJ銀行の支店の貸金庫から顧客の金品(計約3億9000万円相当)を盗んだとして窃盗罪に問われた元行員、山崎由香理被告(47)に対し、東京地裁は6日、懲役9年(求刑・懲役12年)の実刑判決を言い渡した。被告はこれまでの公判で「ギャンブル行動症(依存症)を治して二度と罪を繰り返さないようにしたい」と述べ、弁護側は懲役5年が相当と主張していた。

 検察側は公判で外国為替証拠金取引(FX)で出た多額の損失を補塡(ほてん)するために、貸金庫の管理責任者の立場を悪用したと指摘。動機は極めて身勝手かつ自己中心的だと批判した。

 窃盗罪の法定刑の上限は懲役(現在は拘禁刑)10年だが、複数の窃盗罪が重なった場合は同15年と重くなる。検察側は「顧客の信用を裏切った前代未聞の犯行」として上限に近い量刑を選択していた。

 山崎被告は被告人質問で、起訴されていない分を含めて「顧客約100人から総額17億~18億円相当を盗んだ」と明かした。その上で「(感覚が)完全にまひしていた。金融業界への不信感を招き、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 起訴状によると、山崎被告は2023年3月~24年10月、支店長代理や営業課長だった練馬支店(東京都練馬区)と玉川支店(世田谷区)で、顧客6人から預かった金塊計約26キロ(時価総額約3億3000万円相当)や現金計約6145万円などを盗んだとされる。【安達恒太郎】

毎日新聞

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