<1分で解説>どうやって帰る? サケの「母川回帰」に二つの謎

2025/10/06 15:07 

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 数千キロも離れた海から、生まれた川を遡上(そじょう)して産卵するサケ(シロザケ)。いったい、どうやってふるさとの川に戻ってこられるのでしょうか。北海道大名誉教授で同大北極域研究センター研究員の帰山雅秀さん(魚類生態学)によると、サケが生まれた川に戻るメカニズムには、二つの謎があるといいます。1分で読めて役に立つ「サクッとニュース」、今回は「サケの帰る力のひみつ」を解説します。

Q サケは生まれた川に戻るの?

A 淡水魚であるサケは川で生まれた後、海へ下り、餌の豊富な北太平洋で数年間を過ごします。そして大人になって、生まれた川に戻って産卵し、一生を終えます。

Q どうやって遠い海から帰ってくるのかな。

A それが一つ目の謎です。海から長い距離を帰ってくる方法にはいくつか説がありますが、はっきりとは分かっていません。

 体内時計と太陽の位置を手がかりにする「太陽コンパス説」、地磁気を感じて自分の場所を知る「磁気コンパス説」、そして回遊した道を覚えていて記憶をたどる「マップ説」などがあります。

Q もうひとつの謎は?

 河口の近くまで来たとして、どうやって自分が生まれた川かどうかを見分けるのかです。

Q こっちの謎にも「説」はあるの?

A 「嗅覚刷り込み説」が有力です。川のにおいを覚えていて、そのにおいを頼りに生まれた場所に帰ると考えられています。帰山さんによると、「河口などにいるサケを観察してみると、生まれた川と別の川の間をぐるぐる泳いだ後、必ず生まれた川を選び回帰する」といいます。

Q 生きものの神秘だね。

A はい。でも、温暖化に伴う海水温の上昇により、日本に帰るサケの数は激減しているのが現実です。

毎日新聞

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