AIでクマとの遭遇リスクを予測 6割以上の精度 上智大の研究
クマが市街地に出没し各地で人身被害が相次ぐ中、不測の遭遇を未然に防ごうと、上智大の研究チームは1キロ四方の範囲内でクマとどれくらい遭遇するリスクがあるか予測する人工知能(AI)を開発した。AIの予測から、クマの出没を招きやすい要因が浮かび上がったという。
◇クマ出没情報をAI学習
上智大の深沢佑介准教授(機械学習応用)らは、2021~22年度の秋田県内のツキノワグマ出没情報を基にAIに学習をさせた。
具体的には、出没したケース計1736件と出没しなかったケース計2078件でそれぞれ、緯度・経度▽時刻▽気象▽クマが餌とするブナの実の豊凶情報――などの自然要因のほか、人口分布▽土地の利用状況(水田、宅地、竹林など)▽道路の有無――といった社会的要因がどのような条件だったかを学ばせた。
その上で、統計開始以来クマによる人身被害が最も多かった23年度について、秋田県全域を1キロ四方に細かく分けてクマとの遭遇があったケースと照合。その結果、AIが「遭遇する」と予測したうち実際に遭遇していた割合(適合率)は63・5%。実際に遭遇したケースをAIが的中させられた割合(再現率)は63・6%だった。
◇重要なのは過去の出没場所
さらに分析すると、直近の出没場所よりも、1年前の出没場所が予測に重要なことが分かった。深沢さんは「柿の木などの誘引物があることをクマが学習しているからではないか」と推測する。
竹林や湿地で遭遇する危険性が高いことや、雨や雷も重要な要素であることも分かったほか、高齢化が進んだ地域ほど遭遇が多い傾向もみてとれたという。耕作放棄地が多く、クマが出没しやすいとみられる。
他自治体のデータでも学習でき、チームは北海道などのデータでもAI開発を検討しているという。深沢さんは「精度向上にはリアルタイムの気象データや地域ごとの堅果類の豊凶情報、時系列の出没状況が必要だ。このAIだけでは十分ではなく、判断材料の一つとしてほしい」と話している。
研究成果はデータサイエンスの国際学術誌オンライン版に掲載された。【菅沼舞】
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