山上被告の母、証人出廷へ 安倍元首相銃撃事件、28日初公判

2025/10/21 16:05 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 28日から奈良地裁で始まる安倍晋三元首相銃撃事件の裁判員裁判に、山上徹也被告(45)の母親が弁護側証人として出廷する見通しとなった。母親は現在も世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者で、弁護側は教団による「宗教被害」が事件の背景にあることを立証したい考えだ。

 山上被告は事件の動機として、母親が旧統一教会の信者になって家庭が崩壊したことを挙げ、「教団とつながりがあるとされる安倍氏を狙った」と供述しているとされる。弁護側は、適切な量刑判断をしてもらうには、教団の活動実態や母親の献金状況を明らかにする必要があると主張。母親や宗教学者、「宗教2世」の支援を続けてきた弁護士ら計5人の証人尋問を求めていた。

 21日に開かれた公判前整理手続き後、取材に応じた弁護団は、弁護側が求めた証人はいずれも採用されたと明らかにした。検察側は「教団の教義や活動内容に踏み込むのは不適切だ」と反論していたが、裁判所が弁護側の訴えに一定の理解を示した形だ。

 地裁は、検察側が求めていた警察関係者や銃器の専門家ら7人の証人尋問も認め、公判前整理手続きは終結した。弁護側は殺人罪の成立については争わない方針で、情状面が争点となる公判の構図が固まった。11月20日以降に被告人質問を実施し、12月18日に結審して、判決は2026年1月21日に言い渡される予定。

 起訴状によると、山上被告は22年7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で手製銃を発砲して参院選の応援演説中だった安倍氏を殺害したとされる。殺人罪や銃刀法違反のほか、武器等製造法違反、火薬類取締法違反、建造物損壊罪でも起訴されている。【田辺泰裕、木谷郁佳、喜多瑞輝】

毎日新聞

社会

社会一覧>